大田区お役立ち情報

なぜ、犬より猫の命が奪われるのか。殺処分数の格差から見える、私たちが向き合うべき現実。

皆さん、こんにちは。大田区議会議員の佐藤なおみです。

前回の教育費に関する記事には、多くのご意見や共感を寄せていただき、本当にありがとうございました。皆様の声が、私の活動の原動力です。

さて、本日はもう一つ、私が議員として、そして一人の人間として、どうしても皆様と考えたい「命」の問題についてお話しさせてください。それは、犬と猫の殺処分の問題です。

環境省が発表する統計を見ると、胸が張り裂けそうになる数字があります。それは、殺処分される犬と猫の頭数に、あまりにも大きな差があるという事実です。近年、多くの方々のご尽力で全体の数は減少傾向にありますが、依然として猫の殺処分数は犬の数倍にものぼります。

なぜ、猫ばかりがこんなにも悲しい運命を辿らなければならないのでしょうか。その背景には、彼らの生態と、私たち人間の関わり方の違いが深く関係しています。

いつも猫がいた、私の家

この問題に触れる時、私はいつも幼い頃の家の風景を思い出します。

以前の記事で、私が貧しい家庭で育ったお話をしましたが、そんな我が家には、いつも猫がいました。母が、お腹を空かせた野良猫を放っておけず、ご飯をあげているうちに、次々と住み着いてしまったのです。少ない時で5匹、多い時には10匹以上もの猫たちが、縁側や庭先で気ままに過ごしていました。

子どもだった私は、たくさんの猫に囲まれる生活が当たり前で、それが大好きでした。しかし、今、政治家としてこの問題に向き合う中で、当時のことを省みずにはいられません。

私たちの家にいた猫たちは、外を自由に出入りしていました。そして、私たちは避妊・去勢手術の重要性について、十分な知識を持っていませんでした。優しさから始めた行いが、結果として、望まれない命を増やすサイクルの一端を担ってしまっていたのかもしれない…。その思いが、今の私の活動の根底にあります。

猫の殺処分が圧倒的に多い、3つの理由

なぜ、猫の殺処分は減りにくいのか。その理由は、大きく分けて3つあります。

  1. 圧倒的な繁殖力の強さ

猫は、生後半年ほどで子どもを産めるようになり、年に2〜3回、一度に4〜8匹もの子猫を産みます。その繁殖力はネズミ算式と言われるほどで、1匹のメス猫から1年後には20匹以上、3年後には2000匹以上に増える可能性があるとさえ言われています。この驚異的な繁殖力が、野良猫が増え続ける最大の要因です。

  1. 「外飼い」という文化と法律の不在

犬の場合、「狂犬病予防法」により、飼い主には登録と鑑札の装着、そして散歩の際にはリードで繋ぐことが義務付けられています。これにより、犬が迷子になっても飼い主の元へ戻りやすく、また無秩序な繁殖を防ぐ一助となっています。

一方で、猫にはそのような法律がありません。「猫は自由な生き物だから」と、家の中と外を自由に行き来させる「外飼い」を容認する風潮が、今も根強く残っています。このため、飼い猫が外で繁殖してしまったり、そのまま野良猫になってしまうケースが後を絶たないのです。

  1. 殺処分のほとんどが「子猫」であるという現実

そして最も悲しい事実は、殺処分される猫の多くが、生まれて間もない子猫だということです。野良猫が産んだものの、飼い主が見つからずに保健所に持ち込まれるケースが大多数を占めます。まだ母猫の温もりが必要な小さな命が、人間の都合によって消されていく。これほど理不尽なことはありません。

大田区が目指すべき「命にやさしいまち」とは

この問題は、決して一部の無責任な飼い主だけの問題ではありません。社会全体で考え、取り組むべき課題です。かつての私の家のように、良かれと思ってしたことが裏目に出てしまうこともあります。

そんな過去への反省と、未来への誓いの意味も込めて、**現在の我が家には、保健所から引き取った2匹の保護猫がいます。**彼らと暮らす日々は、私に多くのことを教えてくれます。守るべき命の温かさ、そして一度は捨てられた命を社会全体で支えることの尊さを、毎日肌で感じています。だからこそ、正しい知識を広め、具体的な対策を講じる政治の役割がより一層重要だと痛感するのです。

私は、大田区として以下の取り組みをさらに強化すべきだと考えています。

  • TNR活動の強力な推進: 野良猫を捕獲し(Trap)、不妊・去勢手術を行い(Neuter)、元の場所に戻す(Return)活動です。これは、猫を殺すことなく、一代限りの命として地域で見守る、最も人道的で効果的な繁殖抑制策です。
  • 飼い主のいない猫への手術助成金の拡充: 現在も大田区には助成制度がありますが、これをさらに利用しやすく、多くの区民に知ってもらう必要があります。特に、経済的な理由で手術をためらうことがないよう、支援を手厚くすべきです。
  • 適正飼養に関する啓発活動の強化: なぜ避妊・去勢手術が必要なのか。なぜ完全室内飼育が猫の安全と社会の共生に繋がるのか。粘り強く、区民の皆様に伝えていく責務が私たちにはあります。

「殺処分ゼロ」は、単なるスローガンであってはなりません。具体的な道筋を描き、実行してこそ意味があります。

あの縁側で丸くなっていた猫たちの温もりと、今、私の足元で眠る保護猫たちの寝息。その両方を胸に刻み、全ての命がその生涯を穏やかに全うできる、そんな「命にやさしいまち・大田区」の実現に向け、私はこれからも活動していきたいと思います。

皆様も、どうかこの問題にご関心をお寄せください。地域猫活動への参加、保護猫の譲渡会、そしてご近所との話し合い。私たち一人ひとりに、できることがきっとあります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

大田区議会議員 佐藤なおみ

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