大田区に住んでいると、ふとした瞬間に空を見上げることがあります。窓の外を通り過ぎる飛行機の音、夜空に連なる着陸機の灯り。私たちの暮らしのすぐそばには、日本、そして世界の空の玄関口である羽田空港があります。
「空港のあるまち」というのは、私たちの誇りであり、日常の一部です。その存在は多くの雇用を生み、まちに活気を与えてくれています。世界へと繋がる空港がすぐ近くにある利便性は、何物にも代えがたいものです。
光と影のはざまで
しかし、この「共存」という言葉には、決して軽くない現実も含まれています。特に2020年から本格運用が始まった都心上空を通過する新飛行ルートは、私たちの暮らしに大きな影響を及ぼしました。
これまで比較的静かだった地域の上空を、以前よりずっと低い高度で飛行機が通過するようになりました。晴れた日の午後、友人とのおしゃべりが飛行機の轟音でかき消される。夏場に窓を開けて涼みたいのに、騒音で閉めざるを得ない。多くの方が、こうした経験をされているのではないでしょうか。
それは単なる「うるさい」という問題だけではありません。「もしも部品が落ちてきたら」「何かトラブルがあったら」という、漠然としながらも拭えない安全への懸念は、心のどこかに常に重くのしかかります。
空港の発展が国の経済にとって重要であることは、もちろん理解しています。しかし、その発展が、私たちの穏やかな日常や安心を犠牲にすることで成り立って良いはずがありません。
私たちが求める、真の「共存」とは
では、私たちはどうすれば良いのでしょうか。これは「空港か、暮らしの静けさか」という二者択一の問題ではないはずです。私たちが求めるべきは、空港の利便性や経済的な恩恵を受けながらも、区民の生活環境がきちんと守られる、真の意味での「共存」です。
そのためには、まず私たち住民の声が、国や空港関係者に明確に届く仕組みが必要です。騒音レベルの正確な情報開示、安全対策の徹底と分かりやすい説明。そして何より、住民の負担を軽減するための具体的な対策(飛行ルートの見直しや防音工事への手厚い助成など)を、求め続けなければなりません。
大田区は、良くも悪くも、日本で最も空港と密接に関わってきた地域です。だからこそ、私たちはこの問題の当事者として、未来に向けたより良い「共存」の形を模索していく責任があるのだと思います。
皆さんは、この空の玄関口との「共存」について、どのようにお考えになりますか?
この大切なテーマについて、地域全体で考え、声を上げていくことが、私たちの暮らしを守る第一歩になるはずです。
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