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大田区の公園トイレ問題。「あったら便利」なのに、なぜ簡単には増やせないの?

皆さん、こんにちは。大田区議会議員の佐藤なおみです。

「子どもが公園で遊んでいる時、『トイレ!』と急に言い出して、慌てて家に駆け込んだ」
「ウォーキングの途中で、気軽に使えるトイレが近くにあれば、もっと安心して楽しめるのに…」

地域の皆さんから、こうした公園のトイレに関する切実な声をいただくことが多くあります。小さなお子さん連れのご家族、ご高齢の方、障害のある方にとって、公園に清潔で安全なトイレがあるかどうかは、その公園を安心して利用できるかを左右する、非常に重要な問題です。

もちろん、私もその想いは全く同じです。

しかし、なぜ「あったら便利」なはずのトイレが、すべての公園に設置されていないのでしょうか。今日は、その背景にある、設置が簡単ではない、いくつかの大切な「理由」について、皆さんと共有させてください。

なぜ簡単ではないの?知っておきたい3つの「理由」

一見、シンプルに見える公園へのトイレ設置ですが、実現までには、行政として慎重に考えなければならない、いくつかの大切なポイントがあります。

 

理由①:スペースと費用の問題

まず、物理的なスペースと、お金の問題です。

  • スペースについて:大田区には、広々とした公園だけでなく、「児童遊園」と呼ばれる小さな公園もたくさんあります。こうした公園では、トイレを設置するための十分なスペースを確保するのが難しい場合があります。
  • 費用について:トイレの設置には、建物の建設費だけでなく、上下水道や電気を引き込むための大規模な工事が必要です。そして、それ以上に大きな負担となり得るのが、設置後の維持管理費です。毎日の清掃、トイレットペーパーの補充、修繕、水道光熱費…これらを税金で継続的に賄っていくことは、計画的に進める必要があります。

 

理由②:安全な管理の難しさ

次に、設置したトイレの安全をどう守り、管理し続けるか、という点です。

残念ながら、公園のトイレは、時に心ないいたずらや、不審者のたまり場になってしまうことがあります。夜間の犯罪防止のための対策や、誰もが気持ちよく使える清潔さを24時間365日保ち続けることは、大変な労力とコストがかかるのが実情です。

 

理由③:地域との「合意形成」という大切なプロセス

そして、これが最も重要で、時間をかけて丁寧に進めるべき点です。

「公園にトイレが欲しい」という声がある一方で、公園のすぐ隣にお住まいの方々からは、異なる視点からのご意見が出ることがあります。

「夜中に人が集まって騒がしくならないか」
「衛生面や臭いは大丈夫なのか」
「防犯面で、かえって不安にならないか」

公園は地域全体の共有財産ですが、その隣で暮らす方々の平穏な生活への配慮も、行政としては絶対に無視できません。トイレを設置するには、こうした様々な立場の方々のご意見を丁寧に伺い、合意を形成していくプロセスが不可欠なのです。

では、どうすればいいのか?

「難しい理由があるから、諦める」では、政治の役割を果たせません。

私は、これらの課題と向き合いながら、以下のような取り組みを進めるべきだと考えています。

  1. 既存トイレの徹底した環境改善:まず、今あるトイレを、誰もが安心して使えるよう、より清潔に、より明るく改修していくこと。
  2. 設置の優先順位付け:すべての公園が難しくても、災害時の避難場所にもなるような中核的な公園から、計画的に設置を進めていくこと。
  3. 地域との連携:地域の商店やコンビニエンスストアなどにご協力いただき、いざという時にトイレをお借りできる「まちかど防災トイレ」のような取り組みを広げていくこと。

公園のトイレ問題は、利便性と、予算、そして地域の合意という、難しいバランスの上に成り立っています。

これからも、皆さんの声を真摯に受け止めながら、誰もが安心して過ごせる公園づくりのために取り組んでまいります。

大田区議会議員 佐藤 なおみ

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