こんにちは、大田区議会議員の「佐藤なおみ」です。今回は、私たちの暮らす大田区における「生活保護」に焦点を当て、その受給世帯や人員がどのように変化してきたのか、そしてその背景にはどのような社会情勢があるのかを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
大田区の生活保護受給状況は?
まず、大田区の生活保護に関するデータを見てみましょう。
以下に、直近数年間の大田区における生活保護の受給状況の推移を示します。(※)
年度 | 保護世帯数 | 被保護人員数 |
令和2年度 | 7,100 | 10,200 |
令和3年度 | 7,050 | 10,150 |
令和4年度 | 7,000 | 10,100 |
令和5年度 | 7,020 | 10,120 |
令和6年度 | 7,080 | 10,180 |
(※)上記は架空の数値です。実際のデータは大田区の公式発表や東京都の福祉統計をご確認ください。
ご覧のように、大田区ではおおむね7,000世帯台、人員では10,000人台で推移していることが分かります。もちろん、これは一時的な数値であり、社会経済情勢によって変動します。
長期的な推移から見えてくること
では、もう少し長期的な視点で、過去から現在までの推移を見ていくとどうでしょうか。
全国的、そして東京都全体でも見られる傾向として、2008年のリーマンショック以降、経済状況の悪化に伴い生活保護受給世帯・人員は増加傾向にありました。その後、アベノミクスなどの経済政策や雇用状況の改善により、一時的に減少に転じる時期もありました。
しかし、近年は少子高齢化の進展や、非正規雇用の増加、単身高齢世帯の増加といった社会構造の変化が、生活保護の受給者を押し上げる要因となっています。大田区も、こうした全国的なトレンドと無縁ではありません。
特に注目すべき点は以下の通りです。
- 高齢者世帯の増加: 生活保護を受給する世帯のうち、高齢者世帯が占める割合は年々増加しています。これは、年金収入だけでは生活が困難な高齢者が増えている現状を反映していると言えるでしょう。大田区も例外ではなく、高齢化率の上昇とともに、この傾向は顕著です。
- 傷病者・障害者世帯の存在: 病気や障害により就労が困難となり、生活保護に頼らざるを得ない世帯も少なくありません。医療費や介護費の負担も大きな要因となり得ます。
- 単身世帯の増加: 核家族化や生涯未婚率の上昇などにより、単身世帯が増加しています。単身世帯は何かあった際のセーフティネットが手薄になりがちで、生活困窮に陥りやすい傾向があります。
大田区の取り組みと今後の課題
大田区では、こうした生活保護受給者の増加傾向に対し、以前お伝えした「大田区生活再建・就労サポートセンターJOBOTA」のような自立支援策を強化しています。単に保護費を支給するだけでなく、就労支援や住居確保、家計相談などを通じて、生活困窮からの脱却を目指す包括的なサポート体制を築いています。
しかし、依然として多くの課題も存在します。
- 相談の早期化: 生活保護に至る前に、いかに早く困窮の兆候を捉え、適切な支援に繋げられるか。
- 多様なニーズへの対応: 高齢者、障害者、子育て世帯、若年層など、生活困窮の背景は多岐にわたり、それぞれにきめ細やかな支援が求められます。
- 地域との連携強化: 民生委員、地域包括支援センター、NPO法人など、地域の多様な主体との連携をさらに深めることで、より質の高い支援を提供していく必要があります。
私たちにできること
生活保護は、憲法で定められた「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障するための最後のセーフティネットです。この制度が適切に機能し、本当に困っている方が安心して利用できる環境を整えることは、私たち社会全体の責務だと考えます。
地域の皆様には、生活に困っている方がいれば「JOBOTA」などの相談窓口があることを教えてあげたり、もしご自身が困った時には一人で抱え込まずに相談してほしいと願っています。
私も、地域の中で皆さんの声に耳を傾け、より良い支援体制の構築に向けて活動してまいります。何かお困りのことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
参考情報:
- 東京都福祉保健局「生活保護の動向」
- 大田区公式ホームページ「福祉・保健」関連データ
※具体的な数値データは、最新の公式発表をご確認ください。
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