大田区お役立ち情報

なぜ「条例」という約束が必要だったのか ― 2021年、大田区がいじめ防止条例に込めた想いとは

大田区議会議員の佐藤なおみです。

日頃から、私の活動に多くのご理解とご支援をいただき、本当にありがとうございます。

活動をする中で、区民の皆様から「大田区のいじめ防止条例って、どんなもの?」とご質問をいただく機会がよくあります。今日は、この条例(大田区いじめ防止対策推進条例)がなぜ生まれ、そこにどんな想いが込められているのか、少しだけお話しさせてください。

2021年に制定されたこの条例は、わたしが区議会議員になる前に生まれた条例ですが、これは単なる区のルールの一つではありません。それは、過去の私のような子どもを二度とこの大田区に生んではいけないという、思いも込められた条例だと思います。

 

条例が生まれるまで ―「方針」から「固い約束」へ

この条例が制定される前も、もちろん大田区にはいじめ対策の「方針」はありました。国の法律に基づき、教育委員会や学校現場では、先生方が日々子どもたちのために奮闘してくださっていました。

しかし、私にはずっと、もどかしい思いがありました。

「方針」という言葉だけでは、いじめという根深く、時に残酷な問題に立ち向かうには、あまりにも力が足りないのではないか、と。

いじめが起きたとき、誰が、どこまで責任を負うのかが曖昧でした。対応が特定の先生の熱意や頑張りに頼ってしまい、組織としての動きが遅れてしまうこともありました。その結果、対応が後手後手に回り、傷つくのはいつも子どもたちでした。

「頑張りましょう」という掛け声だけでは、救えない命があります。

だからこそ、法的拘束力を持つ「条例」という、区としての『固い約束』が必要だったのだと思います。「大田区は、組織として、全力であなたを守る」という、子どもたちへの明確なメッセージが必要でした。

 

条例の中身 ― 子どもたちへの具体的な「約束」

では、この条例で大田区は何を約束したのか。詳しい内容をご紹介していきます。

①:「いじめは人権侵害である」という宣言

この条例の出発点は、「いじめは、子ども同士のケンカの延長なんかじゃない。一人の人間の尊厳を奪う、重大な人権侵害だ」という、断固たる宣言です。この共通認識を持つことで、いじめを「些細なこと」として見過ごすことを絶対に許さない、という姿勢が明確にされました。

②:「一人に背負わせない」ための責任の明確化

いじめの対応という重荷を、担任の先生一人に背負わせない。そのために、この条例では「学校組織として対応すること」を義務付けました。そして、学校だけでなく、教育委員会、区役所、さらには保護者や地域住民が、それぞれどう連携し、どう責任を果たすのかを、一つひとつ言葉にして刻み込みました。みんなで子どもを守る。そのための設計図です。

③:「最後の砦」としての第三者委員会の設置

そして、万が一、最悪の事態が起きてしまったとき。「学校や教育委員会の言うことだけでは信じられない」。そう感じたご家族や子どもたちのために、公平な立場で調査する「いじめ問題対策委員会」(第三者委員会)を設置することも定めました。これは、子どもたちとご家族の心に寄り添う、最後の砦です。

もちろん、条例を作っただけで、明日からいじめがゼロになるわけではありません。しかし、この条例は子どもたちに示す決意の証でもあります。

「あなたのせいじゃない」

「あなたは一人じゃない」

「大人が必ず、社会全体で、あなたを守る」

その約束を、これからも守り続けるために。私は、今後もいじめに関する防止に関して積極的に活動を続けていきたいと思います。

大田区議会議員 佐藤 なおみ

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