皆様、こんにちは。大田区議会議員の佐藤なおみです。
先日は、大切な方を亡くされた後の手続きについてお話しさせていただきました。その中で、多くの方が次に直面するのが「ご遺骨をどう供養していくか」、つまりお墓の問題です。
「大田区にお墓を建てたいけど、土地はあるの?」「お墓を継ぐ人がいない場合、どうしたらいいの?」
こうした疑問や不安の声を、私の元にも多く寄せられます。はい、ご質問の通り、特に私たちが暮らす大田区とその周辺では、お墓をめぐる状況が大きく変化しており、多くの方が悩みを抱えています。
大田区とその周辺のお墓事情
この問題は、私たちの暮らしや家族のあり方の変化と深く結びついています。特に、大田区ならではの事情もあります。
- 区営霊園がなく、土地も限られている現実
まず知っておきたいのは、大田区には区が運営する大規模な霊園(区営霊園)がないということです。そのため、公営のお墓を希望する場合、抽選で募集される「都立霊園」を検討することになります。しかし、都立霊園は希望者が殺到し、競争率が数倍から十数倍になることも珍しくありません。また、その多くは多磨や小平、八王子といった郊外にあり、お墓参りに通うのが難しいという声も聞かれます。 - 深刻化する「継承者」の問題
これは大田区でも例外ではありません。従来のお墓は「家」で代々受け継ぐのが前提でした。しかし少子化が進み、「お墓を継ぐ子供がいない」「子供たちは区外や遠方で暮らしており、負担をかけさせたくない」と考える方が急増しています。人口の流動性が高い都市部だからこそ、この「継承者」の問題はより切実です。
大田区内・近隣で広がる「新しい供養のかたち」
こうした状況を受け、大田区やその周辺では、従来のお墓に代わる多様な供養のかたちが急速に広がっています。
- 身近な選択肢としての「寺院墓地」
大田区には、池上本門寺をはじめとする歴史あるお寺が数多くあります。こうした寺院の境内にある墓地は、私たちにとって最も身近な選択肢の一つです。ただし、檀家になる必要があったり、継承者が求められたりする場合もあるため、事前の確認が大切です。 - 都市部で急増する「納骨堂(のうこつどう)」
今、最も注目されているのが、屋内にご遺骨を納める「納骨堂」です。大田区内や、お隣の品川区、川崎市など、駅からのアクセスが良い場所に新しい施設が増えています。
「お墓のマンション」のように、カードキーなどで参拝できる現代的なものも多く、天候を気にせずお参りできるのが魅力です。多くが永代供養(お寺や霊園が永続的に供養・管理してくれる)のため、継承者がいなくても安心です。 - 自然に還る「樹木葬(じゅもくそう)」
墓石の代わりに樹木や草花をシンボルとする「樹木葬」も人気です。大田区内にも、お寺の敷地内などを利用した樹木葬が増えてきました。より広い土地を必要とする大規模なものは、少し足を延ばして川崎市や横浜市の霊園を選ぶ方もいらっしゃいます。こちらも永代供養が基本で、継承者の心配がいらないのが特徴です。
大切なのは、自分たちらしい選択
お墓の問題は、私たちの生き方や家族への想いを映し出す鏡のようなものかもしれません。
「区内に公営霊園がない」「継承者がいない」という現実の中で、私たちの価値観に合わせて、これほど多くの選択肢が生まれている時代でもあります。代々続くお墓を守ることも、新しいかたちを選ぶことも、どちらも等しく尊い供養のあり方です。
最も大切なのは、元気なうちに、ご自身の希望や考えを家族と話し合っておくことではないでしょうか。
私も、これからの時代の供養のあり方について、区民の皆様が安心して選択できるような情報提供やサポートができないか、考えていきたいと思います。
大田区議会議員 佐藤 なおみ
ご意見やご相談はこちら
佐藤なおみへのお問い合わせ