皆さん、こんにちは。大田区議会議員の佐藤なおみです。
「今日は作業所で、みんなと会えるのが楽しみ」
「リハビリを頑張って、少しでもできることを増やしたい」
障害のある方々やそのご家族にとって、日中の活動の場である障害福祉センターや事業所は、社会とのつながりを感じ、生きがいを見つけるための、かけがえのない大切な場所です。
しかし、その大切な場所に「行く」こと自体が、大きな壁となって立ちはだかるケースが少なくありません。
今日は、その「移動の壁」をなくすための重要なサービスである「送迎」について、大田区の現状と、私たちが向き合うべき課題についてお話しさせてください。
大田区の「送迎」支援:どんな種類があるの?
まず、大田区には、障害のある方の通所を支えるための送迎サービスが、いくつかの形で存在します。
- 施設による直接送迎
多くの生活介護事業所や、放課後等デイサービスでは、リフト付きのワゴン車などで、決まったルートを巡回し、ご自宅の近くまで送迎を行っています。これは、最も利用されている基本的な支援です。 - 個別の外出を支える「移動支援」
施設の送迎バスが対応できない、個別のアクティビティや余暇活動のための外出を、ヘルパーが付き添ってサポートする制度です。 - 移送サービス利用券(福祉タクシー券)
歩行が困難な重度の障害がある方を対象に、タクシーや自動車燃料費に使える利用券(月額最大4,000円)を交付しています。
このように、区は多様な形で「移動の足」を確保しようと取り組んでいます。
それでも残る、現場の「困った」
制度はある。しかし、利用者さんやそのご家族、そして現場を支える事業者の方々からは、切実な声が聞こえてきます。
- 課題①:ドライバー不足と高齢化
最も深刻なのが、送迎を担うドライバーの不足です。特に、福祉有償運送を担うNPO法人などでは、運転ボランティアの高齢化が進み、担い手が足りずに活動が縮小しているという現実があります。「利用したい」という声があるのに、応えられないのです。 - 課題②:送迎ルートの限界
施設の送迎バスは、効率的に運行するためにルートがある程度決まっています。そのため、「うちの前までは来てくれない」「集合場所まで一人で行くのが大変」といった、ルートから外れてしまうご家庭への対応が難しいのが現状です。 - 課題③:「すき間」のニーズに対応しきれていない
通所のような決まった移動だけでなく、「ちょっと区役所に手続きに行きたい」「友だちと買い物に出かけたい」といった、日常の細やかなニーズに応える移動手段が、まだまだ足りていません。福祉タクシー券だけではカバーしきれない現実があります。
すべての人が、自分らしく暮らせる大田区へ
私自身、一人で子育てをしていた時、社会から孤立する不安を常に感じていました。行きたい場所に行けない、会いたい人に会えないということが、どれほど人の心をふさぎこませるか、痛いほどわかります。
障害のある方にとって、送迎サービスは単なる「移動手段」ではありません。それは、社会とつながり、自分らしく生きるための命綱なのです。
私は、この「移動の足」を、よりきめ細かく、そして持続可能なものにしていくことがとても大切だと考えています。
- 送迎ドライバーの担い手確保と、その方々への支援強化。
- 施設の垣根を越えた、送迎サービスの共同運行の検討。
- IT技術などを活用した、より効率的で柔軟な配車システムの導入支援。
やるべきことは、まだたくさんあります。
「移動」をあきらめる人が一人もいない大田区を目指して。もし、あなたが移動のことでお困りでしたら、どんな些細なことでも構いません。どうか、その声を私、佐藤なおみにお聞かせください。
皆様の声が、誰かの未来を照らす一歩になります。
大田区議会議員 佐藤 なおみ
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