皆さん、こんにちは。大田区議会議員の佐藤なおみです。
「お兄ちゃんと同じ小学校に通いたい」
小さな弟さんや妹さんの手を引きながら、そう願う子どもたちがいます。
しかし、その当たり前のはずの願いが、いとも簡単に打ち砕かれてしまう現実があることを、ご存知でしょうか。
痰の吸引や経管栄養など、日常的に医療的なケアを必要とする子どもたち—「医療的ケア児」。
近年、医療の進歩により、こうしたお子さんたちが地域で元気に暮らせるようになりました。しかし、いざ学校に通うとなると、そこにはあまりにも高く、冷たい壁が立ちはだかっていたのです。
今日は、この「教育の壁」を改善すべく、私が議会で行った質問と、そこから得られた大切な一歩について、お話しさせてください。
目の前にあった、いくつもの「壁」
私がこの問題に取り組むきっかけとなったのは、区民の方から寄せられた切実な声でした。
「医療的ケアが必要というだけで、地域の学校に通うことを諦めなければならない」
「親が学校に付きっきりでないと、子どもが授業を受けられない」
調べていくうちに、現場にはいくつかの深刻な問題が横たわっていることが分かりました。
- 壁①:看護師がいない、足りない
最大の壁は、医療的ケアを行える看護師の絶対的な不足です。看護師が配置されなければ、お子さんは学校にいる間の安全が確保できず、入学そのものが認められません。また、一人でも看護師が休んでしまえば、その日、お子さんは学校を休まざるを得ないという、あまりにも不安定な状況がありました。 - 壁②:親への過剰な負担
看護師が確保できない場合、その役割は親が担うことになります。お母さんやお父さんが毎日学校の保健室に待機し、授業の合間にケアを行う。これでは、親は仕事を持つことも、自分の時間を持つこともできません。共倒れになりかねないほどの、過酷な負担です。 - 壁③:学校・教員の知識不足
受け入れる側の学校や先生方も、専門的な知識がないために、「何かあったらどうしよう」という不安を抱えていました。障害への理解だけでなく、医療的ケアへの正しい知識とサポート体制が、教育現場には必要でした。
「この子たちの学ぶ権利を、どう守るのか」 私の議会での訴え
私は、議会の場で、こうした当事者の皆さんの声を代弁し、教育委員会に対して、現状の課題と改善について質問しました。
「このままでは、医療的ケアが必要なお子さんたちが、地域の学校に通うことを諦めざるを得ない状況が生まれてしまいます。それは、教育の機会均等という大原則に関わる、重要な問題ではないでしょうか」
その上で、以下のような具体的な質問を投げかけました。
「親の付きっきりがなければ通えない現状を、どう認識しているのか」
「すべての子どもが地域の学校で学べる環境を整えるのが、教育委員会の責務ではないのか」
「そのために、看護師を安定的に確保するための具体的な計画を示してほしい」
区を動かした、確かな一歩
議会での質疑と議論の結果、大田区の教育委員会から、今後の体制強化に向けた、非常に重要な答弁をいただくことができました。
それは、「医療的ケア児の就学希望に応えられるよう、看護師の計画的な増員と安定的な確保に努める」「保護者の付き添いがなくても、子どもたちが安心して学校生活を送れる体制の構築を目指す」という、明確な約束です。
この答弁は、これまで「対応が困難」とされることが多かったこの問題に対し、大田区が「すべての子どもを受け入れる」という強い意志を公式に示した、画期的な一歩です。
すべての子どもに、学びの光を
もちろん、この約束が、すぐに完璧な体制につながるわけではありません。看護師の確保は、全国的な課題であり、簡単なことではありません。
しかし、「無理だ」と諦めることから、「どうすれば実現できるか」へと、行政の姿勢が大きく変わったことは、何よりも大きな希望です。
私はこれからも、この約束が確実に実行されるのか、予算は確保されるのか、議会で確認していきたいと思います。
そして、医療的ケア児であるかどうかにかかわらず、すべての子どもたちが、当たり前に友達と同じ教室で笑い合える、そんな大田区を実現するために、全力で走り続けてまいります。
もし、お子さんの就学のことで悩んでいる方がいらっしゃいましたら、どうか一人で抱え込まず、私、佐藤なおみにお声がけください。
皆様の声が、次のステップへ進める力になります。
大田区議会議員 佐藤 なおみ
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