皆さん、こんにちは。大田区議会議員の佐藤なおみです。
前回のブログでは、DXに対して苦手意識があった私自身の話を交えながら、大田区が目指すDXは「区民の暮らしを便利にする、人にやさしい取り組み」であるとお伝えしました。
今回はその続編として、より具体的に「今、どのようなことが進んでいるのか」、そして「便利さの裏で、私たちが目を向けなければならない課題は何か」について、私なりの視点でお話ししたいと思います。
暮らしが着実に便利になる、大田区の取り組み
まず、既に始まっている、あるいはこれから始まる具体的な良い取り組みをいくつかご紹介します。
一つ目は「書かない窓口」です。
これまで区役所の窓口では、当たり前のように申請書に氏名や住所を何度も書いていました。この手間をなくすため、マイナンバーカードなどを提示すれば、職員の方が聞き取りをしながら必要な情報が入力され、内容を確認して署名するだけで手続きが完了する、というものです。ご高齢の方や、小さなお子様連れでゆっくりと書類を書くのが難しい方にとっては、特に助かる仕組みだと感じています。
二つ目は「スマートフォン一つで完結する手続きの拡充」です。
保険の仕事をしていた頃、お客様にご足労いただくことの多さに、いつも心苦しさを感じていました。区役所の手続きも同じです。平日の日中に時間を作って区役所へ行くのは、多くの方にとって簡単なことではありません。子育て関連の手続きや、区の施設予約などが、いつでもどこでもスマホで完結するようになれば、区民の皆さんの負担は大きく減るはずです。大田区のLINE公式アカウントで、近所の子育て施設を簡単に探せる機能なども、その一例です。
三つ目は「区役所の裏側での業務効率化」です。
AIなどを活用して、職員の方々が書類作成や情報検索にかける時間を短縮する取り組みも進んでいます。これは、単に「仕事を楽にする」ということではありません。こうした業務から解放された職員の方々が、区民一人ひとりの相談に、より丁寧に向き合う時間を生み出すことこそが、本来の目的となっております。
便利さの裏で、私たちが向き合うべき課題
このように素晴らしい取り組みが進む一方で、議員として、また一人の区民として、目を配り続けなければならない課題点も見えてきています。
第一に「デジタルデバイド(情報格差)」の問題です。
スマートフォンやパソコンの操作が得意な方にとっては便利なサービスも、そうでない方にとっては「かえって手続きが分からなくなった」「どこに相談すればいいのか分からない」といった、新たな壁を生んでしまう危険性があります。特にご高齢の方々などが取り残されることのないよう、対面での丁寧なサポート体制は、これまで以上に充実させる必要があると考えています。
第二に「サービスの周知・広報」の問題です。
どんなに便利なサービスが生まれても、それを知らなければ使ってもらえません。「そもそも、そんなオンライン手続きがあること自体、知らなかった」という声を聞くこともあります。本当にその情報を必要としている人に、いかにして分かりやすく届けられるか。広報のあり方は、常に工夫が求められます。
そして最後に「個人情報の保護とセキュリティ」の問題です。
オンラインでの手続きが増えれば増えるほど、区が預かる大切な個人情報を、いかにして安全に守るかという責任は重くなります。区民の皆さんが「大田区になら安心して任せられる」と思えるよう、セキュリティ対策には万全を期す必要があります。
DXは、私たちの暮らしを豊かにする大きな可能性を秘めています。その「光」の部分を最大限に広げると同時に、そこから生まれる「影」の部分にも真摯に向き合う。それが、これからの大田区に求められる姿勢であり、私自身の議員としての重要な役割の一つだと考えています。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
大田区議会議員 佐藤 なおみ
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