大田区お役立ち情報

大田区はなぜ「町工場」のまちと呼ばれるのか? その理由と背景、そして未来へ

こんにちは! 大田区議会議員の佐藤なおみです。

大田区と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか? 羽田空港、多摩川、温泉…様々な顔を持つ大田区ですが、多くの方が「町工場(まちこうば)のまち」というイメージを抱かれるのではないでしょうか。

実際に、大田区には今も多くの町工場が操業し、日本のものづくりを支える重要な拠点となっています。では、なぜ大田区がこれほどまでに町工場と深く結びついているのか? その理由と背景、そして未来に向けた取り組みについて、区議会議員の視点からご紹介したいと思います。

1. 大田区が「町工場」のまちと呼ばれる理由と歴史的背景

大田区に町工場が集積したのは、偶然ではありません。そこには、歴史的な背景と、ものづくりに適した地理的条件がありました。

  • 豊富な水資源と交通の要衝
    大田区は多摩川の下流に位置し、水資源が豊富でした。かつては水運にも恵まれ、製品の運搬に便利だったことが、工場立地の初期の要因となります。また、京浜工業地帯の一角として、東京と横浜を結ぶ交通の要衝でもありました。
  • 関東大震災と区画整理
    大正12年(1923年)の関東大震災後、都心で被災した工場や職人が、地価が比較的安く、区画整理が進んだ大田区(当時の蒲田・大森地区)に移転してきました。これが、大田区にものづくり産業が集積する大きなきっかけとなります。
  • 軍需産業の発展と戦後の復興
    戦前は航空機関連の軍需産業が盛んになり、多くの工場が操業しました。戦後、軍需産業から平和産業への転換が求められる中で、それまで培われた高度な技術力や熟練工の存在が、カメラ、家電、自動車部品など、様々な民生品の生産へと活かされ、日本の高度経済成長を牽引する原動力となりました。
  • 職住近接の「まち」
    大田区の町工場は、多くが住宅街の中に点在し、工場と職人の住まいが近い「職住近接」の環境が特徴でした。これにより、技術継承がスムーズに行われ、地域に根差したコミュニティが形成されていきました。

このような歴史的背景と、高い技術力を持つ職人たちの存在が、大田区を「町工場」のまちとして確立させていったのです。

2. 大田区の町工場の「今」と、未来への挑戦

高度経済成長期を経て、日本のものづくり産業を取り巻く環境は大きく変化しました。安価な海外製品の台頭、後継者不足、都市化による工場移転の圧力など、大田区の町工場も多くの課題に直面しています。

しかし、大田区の町工場は、そうした困難にも負けず、独自の進化を遂げています。

  • 「なんでも作れる」多様な技術力
    大田区の町工場は、旋盤加工、プレス、溶接、研磨、表面処理、金型製作など、多岐にわたる技術を持つ中小企業が隣接しています。この「多品種少量生産」や「短納期対応」を可能にする、密な連携力こそが、大田区のものづくりの強みです。
  • 宇宙、医療、環境分野への挑戦
    これまで自動車や家電の部品製造を支えてきた技術は、今や宇宙産業(人工衛星部品)、医療機器、環境エネルギー関連部品など、最先端分野での活用が進んでいます。これらは、他では真似できない**「世界に誇るオンリーワン技術」**として注目されています。
  • 産学連携・地域連携の推進
    区は、大田区産業プラザPiOなどを拠点に、町工場と大学、研究機関との連携を促進しています。また、地域イベントでの工場見学やワークショップを通じて、ものづくりの魅力を次世代に伝える活動も活発に行われています。

 

3. 佐藤なおみからのメッセージ:町工場とともに、大田区の未来を創る

大田区の町工場は、日本のものづくりの歴史と魂を今に伝える、かけがえのない存在です。その技術力は、私たちの生活を豊かにし、世界の産業を支える基盤となっています。

しかし、後継者不足や経営課題など、多くの困難を抱えていることも事実です。私たち区議会議員は、この大田区が誇るべき産業を守り、さらに発展させていくために、行政の役割が極めて重要だと考えています。

  • 中小企業への支援強化:新たな技術開発や設備投資への補助、販路拡大支援など、持続可能な経営を支えるための施策をさらに充実させる必要があります。
  • 後継者育成と人材確保:ものづくりに興味を持つ若者がこの地域で学び、働き続けられるよう、教育機関との連携や就労支援を強化します。
  • 職住工混在地域の課題解決:騒音や振動など、住宅との共存における課題を解決し、地域全体で町工場を支える理解を深める取り組みを進めます。

「町工場」は、大田区のアイデンティティであり、未来を切り拓く力です。区民の皆様と共に、この大切な産業を守り、次世代へとつなげていけるよう、私も全力で取り組んでまいります。

大田区議会議員 佐藤なおみ

※本記事の内容は、2025年7月現在の情報に基づいて記述しています。大田区の産業に関する最新の取り組みや詳細については、大田区の公式ウェブサイトや大田区産業振興協会などにご確認ください。

ご意見やご相談はこちら

佐藤なおみへのご意見やご相談はこちら

佐藤なおみへのお問い合わせ

 

関連記事

TOP