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大田区の「空き家問題」を考える〜放置された空き家が地域に与える影響と対策の現状〜

こんにちは! 大田区議会議員の佐藤なおみです。

私たちの暮らす大田区は、都心へのアクセスも良く、豊かな自然や歴史、そしてものづくりの文化が息づく魅力的なまちです。しかし、そんな大田区でも近年、**「空き家問題」**が顕在化し、地域課題の一つとなっています。

皆さんのご近所にも、長年人の住んでいない家や、管理が行き届かず老朽化が進んでいる建物を見かけることはないでしょうか? ただ「空いている」だけに見える家が、実は地域に様々な影響を与えている現実があります。

今回は、大田区が抱える空き家問題の現状と、区がどのような対策に取り組んでいるのか、そして今後の課題について、区議会議員としての視点からお伝えしたいと思います。

1. 大田区における空き家問題の現状と放置される理由

なぜ大田区で空き家が増えているのでしょうか?そこには、全国的な傾向と地域特有の事情が絡み合っています。

  • 高齢化の進行と所有者不明問題:
    所有者が高齢化し施設入所や亡くなった後、相続人が多岐にわたったり、連絡が取れなかったりすることで、建物の管理や処分が進まないケースが増えています。
  • 「負動産」化する空き家:
    古い木造住宅や、再建築が難しい土地にある建物など、解体費用や税負担だけがかさみ、売却や活用が難しい「負動産」となってしまうことがあります。所有者にとって、手放すメリットが見出しにくい現状があります。
  • 実家を相続する「子世代」の課題:
    親元を離れて都心や郊外で生活する子が実家を相続した場合、自身で住む予定がなく、遠方のため管理が難しい、賃貸に出すには多額のリフォーム費用がかかる、売却しても利益が見込めないなどの理由から、手付かずのまま放置されてしまうことがあります。
  • 建物の老朽化と防災性の低下:
    大田区には、戦前から続く木造住宅密集地域も多く、築年数の古い建物が老朽化し、倒壊や火災のリスクを高めています。
  • 特定空き家としての認定:
    「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、倒壊の恐れがある、衛生上有害となる、景観を著しく損なうなどの状態にあると判断された空き家は**「特定空き家」**に指定され、所有者に対し、行政が指導や命令を行う対象となります。

 

2. 放置された空き家が地域に与える影響

空き家は単に「人が住んでいない家」ではありません。放置されることで、地域社会に深刻な影響を及ぼします。

  • 防犯・治安の悪化:
    不法侵入や不審者のたまり場となる恐れがあり、地域全体の治安を悪化させる原因となります。
  • 衛生環境の悪化:
    庭木の繁茂、ゴミの不法投棄、害虫・害獣の発生源となり、近隣住民の生活環境を損ないます。
  • 防災性の低下:
    老朽化による倒壊の危険性、放火による火災発生のリスク、地震時の避難経路の閉塞など、地域の防災力を著しく低下させます。特に木造密集地域では、延焼の危険性も高まります。
  • 景観の悪化と不動産価値の低下:
    荒れた空き家はまちの景観を損ね、周辺地域の不動産価値をも低下させる可能性があります。
  • 近隣トラブルの発生:
    衛生面や安全面での懸念から、近隣住民とのトラブルに発展するケースも少なくありません。

 

3. 大田区が取り組む空き家対策の現状

大田区では、こうした空き家問題に対し、国や都の動向を踏まえつつ、様々な対策を進めています。

  • 空き家に関する相談窓口の設置:
    区は、空き家所有者やその親族に対し、専門家(弁護士、司法書士、建築士、不動産鑑定士など)と連携した相談窓口を設けています。管理方法、活用方法、売却、解体、相続など、多岐にわたる相談に応じています。
  • 「特定空家等」への対応:
    地域からの情報提供やパトロールを通じて、管理不全な空き家を把握し、「特定空家等」に認定された空き家に対しては、所有者への指導・助言、勧告、命令を行い、改善を促しています。最終的には行政代執行も視野に入れています。
  • 空き家活用・除却への補助制度:
    空き家の適正な管理や有効活用、または除却(解体)を促すための補助制度を設けています。
  • 老朽建築物除却費助成:地震対策上危険な老朽家屋の解体費用の一部を助成し、防災性の向上を図ります。
  • 空き家活用モデル事業:空き家を地域活動拠点や福祉施設などに改修・活用する取り組みへの支援を行っています(具体的な事業内容は区にご確認ください)。
  • 情報提供と啓発活動:
    空き家所有者向けに、適正管理の重要性や活用事例、関連制度などに関する情報提供を行い、意識啓発に努めています。
  • 地域連携:
    町会・自治会や地域住民からの情報提供を積極的に受け付け、地域と連携しながら空き家問題の早期発見・早期対応に努めています。

 

4. 佐藤なおみからのメッセージ:空き家問題解決へ、さらなる一歩を

大田区は、空き家問題に対し様々な対策を講じていますが、その解決にはまだ多くの課題が残されています。特に、所有者の特定や、経済的な負担が大きい場合の支援、そして「負動産」化を防ぐための新たな活用策の創出が急務です。

区議会議員として、私は以下の点に重点を置き、区の空き家対策をさらに前進させていくよう、強く働きかけてまいります。

  • 所有者へのより積極的なアプローチ:
    連絡がつきにくい所有者に対し、法的・専門的知見を活用したアプローチ方法を検討し、実効性のある管理・活用の促進を図ります。
  • 解体・活用支援の拡充:
    高額な解体費用や改修費用がネックとなりやすい現状に対し、より利用しやすい補助制度や、融資制度との連携強化を提案します。
  • 地域ニーズに合わせた空き家バンクの活性化:
    区内の空き家と、住みたい人・活用したい人(地域活動団体、子育て世帯、若年層など)をつなぐマッチング機能を強化し、空き家を地域の財産として再生する仕組みを検討します。
  • 予防的アプローチの強化:
    空き家となる前の段階から、相続や住まいに関する相談を受けられる体制を充実させ、問題の発生を未然に防ぐ「予防」の視点も重要です。

空き家問題は、単なる個人の問題ではなく、まち全体の活力や安全に関わる喫緊の課題です。区民の皆様と共に知恵を出し合い、放置された空き家をなくし、活気あふれる住みよい大田区を築いていけるよう、私も全力で取り組んでまいります。

空き家に関するご心配事やご提案がありましたら、ぜひ私、佐藤なおみまでお気軽にお声をお聞かせください。

大田区議会議員 佐藤なおみ

※本記事の内容は、2025年7月現在の一般的な情報に基づいており、各施策の実施状況や詳細は変更される場合があります。最新の情報や具体的な相談については、必ず大田区の公式ウェブサイトをご覧いただくか、大田区の空き家対策担当部署に直接お問い合わせください。

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