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大田区の地域猫活動の「光」と「影」:課題と問題点を知る

皆さま、こんにちは!大田区議会議員の佐藤なおみです。

前回のブログで、大田区が推進する地域猫活動についてご紹介しました。殺処分を減らし、地域の衛生環境を改善し、人と猫が共生できる街を目指すこの活動は、非常に意義深いものです。しかし、どのような活動にも課題や問題点は存在します。今回は、地域猫活動が直面する「影」の部分にも光を当て、皆さまに活動へのより深い理解を深めていただきたいと思います。

1. 住民理解の不足とトラブルの発生

地域猫活動が最も直面しやすいのが、住民の理解不足です。

  • 餌やり問題の誤解: 「結局、餌を与えているだけでは?」という誤解や、「猫が増えるから餌を与えるべきではない」という意見は根強く存在します。不妊去勢手術とセットで行われる計画的な餌やりが、かえって猫の数を減らすことにつながるという理解が浸透していないと、対立を生む原因になります。
  • フン尿被害や鳴き声: 活動地域であっても、完全にフン尿被害や鳴き声がなくなるわけではありません。活動の成果が出るまでに時間がかかるため、その間の被害に悩む住民との間でトラブルが発生することがあります。特に、猫が嫌いな方にとっては、地域猫活動そのものが受け入れがたい場合もあります。
  • 衛生管理の難しさ: エサ場やトイレの管理が不十分だと、かえって不衛生になり、臭いや害虫発生の原因となることも。活動を行うボランティアの方々の負担にもなり得ます。

2. 活動の担い手不足と高齢化

地域猫活動は、基本的に地域のボランティアの方々の善意によって支えられています。

  • 人手不足: 不妊去勢手術のための捕獲、餌やり、トイレ清掃、住民への説明、病院への搬送など、活動内容は多岐にわたり、時間も労力もかかります。限られた人数で継続するのは非常に大変で、常に人手不足に悩まされています。
  • 活動者の高齢化: 長年活動を続けている方が高齢化し、体力的な負担から継続が難しくなるケースも増えています。若い世代の参加が不可欠ですが、日中の仕事などもあり、活動への参加が難しいのが現状です。
  • 経済的負担: 区からの助成があるとはいえ、手術費用以外にも、餌代、医療費、トイレの砂代など、活動には継続的な費用がかかります。ボランティア個人の負担が大きくなることも課題です。

3. 効果が出るまでの時間と成果の見えにくさ

地域猫活動は、即効性のある解決策ではありません。

  • 時間が必要: 猫の寿命や繁殖サイクルを考慮すると、地域内の猫の数が目に見えて減るまでには数年、場合によっては10年近い年月がかかることもあります。
  • 成果の可視化の難しさ: 「何匹の猫が減った」という数値目標は設定しにくく、活動の成果が分かりにくいと感じる人もいます。活動が停滞すると、「本当に効果があるのか」と疑問視されることもあります。
  • 新たな猫の流入: 周辺地域からの猫の流入や、無責任な遺棄によって、せっかく数を減らしても、新たな猫が地域に定着してしまう可能性もあります。

4. 行政との連携・支援のあり方

大田区も支援を行っていますが、より効果的な連携が求められます。

  • 情報共有と連携強化: 活動団体と行政、そして住民との間の情報共有が密でないと、誤解や不信感を生むことがあります。よりスムーズな情報共有と連携体制の強化が必要です。
  • 多様な支援の検討: 手術費用の助成だけでなく、活動場所の確保、活動資材の提供、トラブル発生時の仲介役など、行政が果たせる役割はまだ多くあります。

課題を乗り越え、共生の街へ

これらの課題は、地域猫活動の「成長痛」とも言えるかもしれません。しかし、これらを一つずつ丁寧に解決していくことで、活動はより強固になり、人も猫も真に幸せに暮らせる街へと近づきます。

私、佐藤なおみは、これらの課題を深く認識しています。これからも、現場で活動されている皆さまの声に耳を傾け、区民の皆さまの理解を深めるための啓発活動を強化し、行政としてできる支援をさらに充実させるべく、議会で働きかけてまいります。

大田区が、すべての命に優しい、より良い地域となるために、皆さまのご理解とご協力を引き続きお願い申し上げます。

大田区議会議員 佐藤なおみ

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