大田区お役立ち情報

大田区で放課後等デイサービスに入れない?「空きがない」問題の背景と本当に必要な改善とは

はじめに──保護者の切実な声「どこもいっぱいで入れません」

・放課後等デイサービスに申し込みたいのですが、どこも空きがなくて
・何件も問い合わせたのに、半年以上待ちと言われました
・この子に合いそうな事業所は見つかったのですが、利用開始は数か月先になるそうです

こうした声がいま、大田区で子育てをする保護者の方々から私のもとに繰り返し寄せられています。

放課後等デイサービス(以下「放デイ」)は、障がいのある子どもたちが放課後や休日を安心して過ごし、生活力や社会性を育む大切な支援の場です。しかし現実には大田区において「利用したいのに利用できない」という状況が確かに存在しています。

これは一部の家庭だけが感じている不満や、情報不足による誤解ではありません。制度の仕組みや複雑化するニーズ、人材不足、そして地域ごとの偏りといった複数の要因が重なり合って生じている構造的な課題です。

この記事では「空きがない」と言われる背景について、保護者・事業所・行政それぞれの立場を踏まえ、現場で何が起きているのかを丁寧にお伝えします。

「空きがない」とは実際にはどういう状態なのか

放課後等デイサービスの運営には国が定めた厳しい基準があります。多くの小規模事業所では1日あたりの定員は10名となっており、この定員を超えての受け入れは制度上厳しく制限されています。そのためどれだけ利用希望者が多くても、事業所側が「今日は11人目を受け入れよう」と柔軟に対応することは実質的に不可能です。

さらに、単に数字上の定員に空きがあるだけで「利用できる」とは限りません。

下校時間に合わせた受け入れ体制や送迎ルートの確保、必要なスタッフの配置、そして一人ひとりに合った個別支援計画の実行。これらすべての条件がそろって初めて「受け入れ可能」と判断されます。その結果、現場では「月曜日だけは空いているが火曜と木曜は満員」「受け入れ時間が合わず利用できない」「特性に合う事業所はあるが常に満員」といったケースが頻繁に起こります。

保護者にとってはこうした条件の不一致もすべて「利用できない」のと同じ意味を持ちます。「空きがない」という言葉は大げさな表現ではなく、日常的に起きている現実なのです。

なぜ大田区で“空き不足”が深刻化しているのか

大田区で放デイの利用が難しいと言われる背景にはいくつかの要因がありますが、特に大きいのは次の三点です。

● 一つ目は利用希望の増加と「ミスマッチ」です。
発達障がい等への理解が広がり、早期から支援につなげたいと考える家庭が増えています。大田区内でも事業所の数は増えていますが、単に数が増えれば解決するわけではありません。「重度のお子さんに対応できる施設」や「中高生の就労準備に特化した施設」など、我が子の特性に合う事業所が圧倒的に足りない「質のミスマッチ」が起きています。

● 二つ目は地域ごとの偏りです。
大田区は広く、地域によって環境が大きく異なります。特に一部の住宅エリアでは利用希望が集中しやすく、慢性的な空き不足が起きています。放デイは「どこでもよい」わけではなく、通いやすさや安心できる環境でなければ継続的な利用が難しいため、選択肢が極端に限られてしまう家庭が少なくありません。

● 三つ目は深刻な人材不足です。
放デイの運営には児童発達支援管理責任者や保育士など専門性の高い人材が必要です。しかし都市部では人材確保が非常に難しく、「場所や定員には空きがあるのに職員が足りず受け入れを制限せざるを得ない」という事業所も多くあります。

保護者から寄せられる切実な声

・やっと見つかったと思ったら半年待ちと言われました
・合わない施設に無理に通わせるくらいなら、利用しない方がいいのかと悩んでいます
・放デイが使えないなら仕事を続けられないかもしれません

こうした言葉の一つひとつには、生活の不安や将来への焦りがにじんでおり、学校が終わった後に子どもが安心して過ごせる場所がないことは、家庭全体の生活を揺るがします。親が仕事を辞めざるを得なくなったり収入が減ったりするケースもあります。これは決して個人の努力不足の問題ではなく、自治体として正面から向き合うべき社会課題です。

放デイに入れないことが子どもに与える影響

放デイの空き不足による影響は保護者だけにとどまりません。子どもたち自身も安心できる放課後の居場所を失うことで大きな影響を受けます。家に帰っても一人で過ごす時間が長くなり、生活リズムが乱れる子もいます。学校と家庭以外に「第三の居場所」がないことで、社会性を育む機会が減ってしまうこともあります。

特性のある子どもにとって環境の安定はとても重要です。放課後をどう過ごすかが不安定になることで、睡眠の乱れや情緒不安定といった課題が強く出てしまうケースも少なくありません。放デイは単なる「預かりの場」ではなく、子どもが安心して成長していくために欠かせない療育の場なのです。

行政としていま取り組むべき改善策

この問題は単に事業所の数を増やすだけでは解決しません。制度の運用や支援の仕組みそのものを実態に合わせて見直す必要があります。特に不足している地域や特定の支援(重症心身障がい児対応など)を行う事業所については、ニーズを的確に把握したうえで開設や運営がしやすくなる環境を整えることが重要です。

また「どこに相談すればよいのかわからない」という保護者のために、空き情報の「見える化」を進めることや相談窓口の機能を強化し、迷わず適切な支援につながれる導線づくりも急務です。

何より大切なのは「一人にしない」こと

・空きがなくて困っています
・仕事と子育ての両立が限界です
・子どもの居場所がありません

これらはすべて助けを求める大切なサインです。
行政も議員も、事業所も地域社会も、その声に気づき受け止め寄り添う姿勢が求められていると思います。放デイを利用できるかどうかは家庭の運や頑張りだけで決まっていい問題ではありません。社会全体で支えるべき課題ではないでしょうか。

おわりに

放デイの空き不足は制度や人材、地域差などが複雑に絡み合った問題です。けれどその中心にいるのは、毎日懸命に子どもと向き合っている保護者の皆さんです。

「こんなこと相談していいのかな」と思うようなことでも構いません。
困ったときや不安を感じたときは、どうか一人で抱え込まず声をあげてください。

同じ大田区で子育てをする一人として、そして議員として、私は皆さんの声を受け止め必要な改善を行政に届けたらと考えております。
子どもたちの未来とご家族の安心を守るために。
これからも一緒に考え、動いていきましょう。

大田区議会議員 佐藤 なおみ

ご意見やご相談はこちら

佐藤なおみへのご意見やご相談はこちら

佐藤なおみへのお問い合わせ

 

関連記事

佐藤なおみ YouTubeチャンネル

お知らせ一覧
  1. 大田区から「赤ちゃんと家族」が消えていく。「転出超過」の事実と私が政治家になった本当の理由

  2. 大田区のシングルマザーにとっての住宅支援とは。住まいに悩んだ私の経験と区が目指すこれからの姿

  3. 4人の子を抱えた私の原体験と大田区で実現したい「ひとり親の住宅セーフティネット」

  4. 大田区で子育てに悩むあなたへ。佐藤なおみ「子育て相談窓口」

  5. 大田区で放課後等デイサービスに入れない?「空きがない」問題の背景と本当に必要な改善とは

TOP