皆さんこんにちは。大田区議会議員の佐藤なおみです。
今日は少し長いですが、どうしても皆さんに伝えなければならない「大田区の不都合な真実」について書きたいと思います。このブログを読んでいる方の中には、これから結婚を考えている方、今まさに小さなお子さんを抱えて奮闘している方、あるいはすでにお孫さんがいらっしゃる方もいるでしょう。
どの世代の方にも、まず知っていただきたいデータがあります。
それは、「大田区の子育て世帯(特に0歳から4歳)の転出超過数が、東京23区内で最大級のレベルにある」という事実です。
・まさかそんな事態になっているなんて
そう思われるかもしれませんがしかし、これは現実です。未来の担い手である子どもたちと、その親御さんたちが大田区以外の場所を選び、川崎や横浜あるいは千葉方面へと流出しているのです。なぜこんなことになってしまったのか。
そして、私たちはどうすればこの流れを止め、再び「選ばれる大田区」を取り戻せるのか。かつてシングルマザーとして、非正規雇用の派遣社員として、歯を食いしばって4人の子どもを育ててきた私、佐藤なおみの「原体験」を交えながらこの問題の深層と解決策を包み隠さずお話しします。
私の原点 — 「電話が鳴るのが怖かった」あの日々
政策の話をする前に、少しだけ私の昔話をさせてください。私がなぜ、これほどまでに「子育て支援」や「非正規雇用の待遇改善」にこだわるのか。その理由は、教科書で読んだからではありません。私自身が、そのギリギリの淵を歩いてきたからです。
派遣社員、シングルマザー、4人の母
かつての私は、4人の子どもを抱えるシングルマザーでした。生活を支えるために選んだ仕事は派遣社員。
「正社員になりたい」
そう願っても、小さな子どもが4人もいるシングルマザーを条件よく雇ってくれる会社など当時の社会にはほとんどありませんでした。
毎朝、戦場のような忙しさで子どもたちを保育園や学校に送り出し、満員電車に揺られて職場へ向かう。職場では「いつ契約を切られるかわからない」というプレッシャーの中で、必死に笑顔を作って働きました。
ドキドキしながら取った受話器
当時、私にとって最も恐ろしい音、それは午前10時から午後2時の間に鳴る携帯電話の着信音でした。
仕事中にポケットの中で携帯が震える。
画面を見ると「〇〇保育園」の文字。
その瞬間、心臓が早鐘を打ち少し血の気が引いていくのを感じました。
・インフルエンザだったらどうしよう
・今日早退したら今のプロジェクトから外されるかもしれない
・もし何日も休むことになったら来月の契約更新はないかもしれない
子どもの心配をするのが母親の役目のはずなのに、当時の私の頭を最初によぎるのは「仕事」と「生活費」の心配でした。そんな自分が情けなくて、申し訳なくて、保育園に迎えに行く自転車の上で、涙が出そうになったことが何度もあります。子どもが熱を出して泣いているのに、「ごめんね」と言いながら、心のどこかで「なんで今なの」と思ってしまう。そんな極限の精神状態で綱渡りのような日々を送っていました。
「自己責任」という冷たい言葉
行政の窓口に相談に行っても、返ってくるのは「制度の枠組み」の話ばかり。
「お母さん、もっと頑張れませんか?」
「ご実家は頼れませんか?」
社会全体に漂う「子育ては親の責任」「貧困は努力不足」という自己責任論の空気が私をさらに追い詰めました。
「誰も助けてくれない」
「私が倒れたら、この子たちはどうなるんだろう」
あの時の「孤独」と「絶望感」
それが今の私の政治活動の原動力です。
今は良きパートナーと出会い生活も安定しましたが、私はあの時の「痛み」を忘れることはなく、今この大田区のどこかでかつての私と同じように、携帯電話の着信に怯え、明日の生活に不安を抱えているお父さんお母さんのことを心配しております。
データが語る「大田区の危機」 — なぜ若者は去るのか
私の個人的な経験は、今の若い世代が直面している問題とも深くリンクしています。ここからは「感情」ではなく、冷静な「視点」で大田区の現状を分析します。
「転出超過」の正体
総務省の住民基本台帳移動報告などのデータを見ると、大田区の深刻な状況が浮き彫りになります。
特に問題なのは「どの世代が出ていっているか」です。
大田区から流出しているのは、主に30代〜40代の子育て世帯と、その子どもである0歳〜4歳の年少人口です。
彼らの行き先はどこか?
多くは、川崎市、横浜市、そして流山市や明石市といった「子育て支援」を明確に打ち出している自治体です。かつての大田区は、町工場があり、商店街があり、人情味あふれる「庶民の街」として若い家族を受け入れてきました。しかし今、その大田区が選ばれなくなっている。これは明らかに「行政サービスの停滞」であり、「政治の責任」だと思っております。
住居費の高騰と「広さ」の問題
大田区は都心へのアクセスが良い分、家賃や不動産価格が高騰しています。私が育てていたような多子世帯(子ども3人以上)が、快適に暮らせる3LDK以上の物件を大田区内で探そうとすると家賃は驚くほど高額になります。一方で、多摩川を一本越えた川崎市や、少し足を延ばした郊外では、同じ予算でもう一部屋多い家が借りられることもあります。
「狭いアパートで子どもに『静かにしなさい』と怒り続けるより、広々とした家でのびのび育てたい」
そう考えるのは親として当然です。大田区には、この「子育て世帯向け住宅支援」が圧倒的に不足しています。
「質」への不安と「共働き」の壁
待機児童の数は数字上では減りました。しかし、現場の声を聞くと「質のミスマッチ」への不満が渦巻いています。
・急な残業に対応してくれる延長保育が少ない
・病児保育の予約が朝8時から電話合戦で、全く取れない
かつての私のように、非正規雇用やフリーランスで働く親御さんにとって「柔軟性のない保育システム」は命取りです。「働きたいのに、預け先が不安定で働けない」。このジレンマを解消できていないことが、共働き世帯の転出を招いています。
他都市との「本気度」の差
● 例えば兵庫県明石市。
所得制限なしの「5つの無料化(医療費、給食費、保育料、おむつ、遊び場)」を断行し、人口増と税収増を実現しました。
● 例えば、千葉県流山市。
「母になるなら流山市」という明確なブランディングで、送迎保育ステーションを整備し共働き世帯を呼び込みました。
ひるがえって、大田区はどうでしょうか?
「財源がない」「検討中」
できない理由を探している間に、若い世代は賢くより優しい街へと移り住んでしまい、住民は行政の「本気度」を敏感に感じ取っているように思えます。
「チルドレンファースト」で大田区を救う
批判だけなら誰でもできます。私が所属する都民ファーストの会は、しがらみのない立場から「チルドレンファースト」社会の実現を掲げています。
東京都ではすでに「018サポート」や「高校授業料の実質無償化」などが進んでいますが、大田区はもっと変われるはずです。私は以下の3つの柱で、大田区を「日本一子育てしやすい街」へと変革できればと考えております。
経済的バリアフリーの実現 — 「教育・医療の完全無償化」
・お金がないから子どもを諦める
・お金がないから大田区を出ていく
こんな悲しい選択を私は二度とさせたくありません。
給食費・医療費の所得制限撤廃と完全無償化:
国の方針を待つのではなく区独自の判断で、義務教育終了までの給食費・医療費を、親の所得に関わらず完全無償化すること。「稼いでいる家庭からは取るべき」という議論がありますが、子育ての負担はどの家庭でも重いものです。すべての子どもを等しく社会で育てるというメッセージが必要です。
「第三子以降」への支援について:
第三子以降への支援については、たくさん産めばいいという話では決してありません。現実には、多くの家庭が「1人、2人育てるだけで精一杯」と感じています。だからこそ私は、まず第1子・第2子を安心して育てられる環境整備が何より重要だと考えています。そのうえで、「本当はもう一人ほしいけれど、経済的な理由で諦めている」。そんな声に応える選択肢として、第三子以降の負担が過度に重くならない支援のあり方を検討したいと考えています。
産むかどうかは個人の選択です。
ただ、その選択を「お金の不安」だけで諦めなくていい社会をつくることが、政治の役割だと思っています。
「孤立」させない — 24時間365日のセーフティネット
かつての私が震える手で受話器を取ったような恐怖を、今の親御さんには味わわせません。
病児保育・緊急一時預かりの「全区展開」と「DX化」:
スマホ一つで、当日の朝でも予約ができる病児保育ネットワークを構築できたらと考えております。空き状況の可視化、タクシーによる送迎支援など、テクノロジーを使って「預けられない不安」を限りなくゼロに近づけたいと思います。
シングルマザー・ファザーへの「住まい」と「仕事」のセット支援:
ひとり親家庭専用の家賃補助付き住宅の整備や、就労支援センターとの連携を強化し、生活の基盤を安定させることが子どもの安定に直結すると信じてやみません。
大田区の「稼ぐ力」を取り戻す — 行財政改革の断行
「そんな財源どこにあるんだ?」
必ずそう聞かれます。だからこそ「改革」が必要なのではと考えております。
行政の無駄をカット:
天下り先となっている外郭団体の整理、費用対効果の低いイベントや補助金の見直しなどは定期的に実施していく必要があると考えております。
区有資産の有効活用:
大田区が持っている土地や建物を民間活力で再生し、収益を生み出す構造作りができないかと思います。
未来の大田区へ — 20年後の子どもたちのために
私が描く20年後の大田区の姿。
それは、かつてのような「下町の人情」と最先端の「テクノロジーと福祉」が融合した街です。
道ですれ違う子どもたちが屈託なく笑っている。
公園では、地域の方々が見守る中、お母さんお父さんが安心して子どもを遊ばせている。
「大田区で育ってよかった」
「大人になっても、大田区で子育てしたい」
そう言ってもらえる街にするためには、「今」変わらなければなりません。
あなたの「声」が武器になる
もし、今の子育て環境に不満があるなら、諦めて引っ越す前に私にその声を届けてください。
そして相談してください。
・保育園のここがおかしい
・公園が汚い
・手続きが面倒だ
どんな小さなことでも構いません。
それが、私が大田区政に皆さんの意見を取り込む貴重な糧になります。
佐藤なおみは4人の母として、元派遣社員のシングルマザーとして、そして一人の政治家として、区民の皆さんに常に寄り添い、大田区を良くしていけたらと考えております。皆さんと一緒に子どもたちの笑顔が溢れる大田区を取り戻しましょう。
最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。
大田区議会議員 佐藤 なおみ
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