大田区お役立ち情報

いつまでも安心して暮らせる大田区へ ~多様化するニーズに応える大田区の高齢者支援の全体像~

こんにちは。大田区議会議員の佐藤なおみです。

日頃より、区政に対しまして温かいご理解とご協力を賜り、心より感謝申し上げます。さて、本日は、多くの区民の皆様からご関心やご質問をいただく大田区の「高齢者支援」について、改めて大田区の取り組みを網羅的にお伝えしたいと思いブログを書きました。

大田区の高齢者の皆様を取り巻く状況は、今、大きな節目を迎えています。区の最新の計画によると、近年の65歳以上の高齢者人口は約16万6千人、総人口に占める割合である「高齢化率」は22.5%前後で推移しています。これは、区民の約4.4人に1人が高齢者という計算になります。

この22.5%という数字は、全国平均の高齢化率(約29%)と比較すると低い水準にあります。しかし、大都市である東京都の平均(約22.7%)とはほぼ同じ水準であり、大田区が高齢社会の大きな潮流の中にしっかりと位置していることを示しています。何より、75歳以上の後期高齢者の数が前期高齢者(65~74歳)の数を上回り、その差が拡大傾向にあるという事実は、今後の医療や介護のニーズがさらに多様化・複雑化していくことを私たちに示唆しています。

私は、これらの数字を単なる「課題」として捉えるのではなく、経験豊かな人生の先輩方が数多くお住まいになる「成熟したまち」の証であると考えています。

しかしながら、一口に「高齢者」と申しましても、そのお暮らしぶりは千差万別です。お元気で、趣味や地域活動に生きがいを見出しておられる方、長年培った知識や経験を活かしてまだまだ社会で活躍したいと考えておられる方、一方で、少しずつ身体の衰えを感じ始め、将来に漠然とした不安を抱えておられる方、そして、ご自身やご家族の介護に日々向き合っておられる方。お一人おひとりの状況やニーズは、全く異なります。

だからこそ、行政の支援も、画一的なものであってはなりません。それぞれの状況に合わせて、必要な情報を、必要な方に、的確にお届けすること。そして、選択肢を豊富に用意し、皆様がご自身の意思で「これからの暮らし」を選び取れるように支えること。それが、今の基礎自治体に求められる最も重要な役割です。

先の定例会でも、私はこの高齢者支援のあり方について、特に「支援の個別化・多様化」と「情報発信の重要性」など様々調べてみました。素晴らしい制度があっても、それが知られていなければ、使われていなければ、存在しないのと同じです。

このブログでは、大田区が誇る多岐にわたる高齢者支援のメニューを、以下の5つの柱に沿って、できる限り分かりやすく、具体的にご紹介してまいります。少し長くなりますが、皆様の暮らしに必ず役立つ情報があるはずです。ご自身のため、ご家族のため、そして、地域で支え合う未来のために、ぜひ最後までお付き合いいただけますと幸いです。

【このブログの構成】

  • 第1章:まずは相談。あなたの暮らしの「困った」に寄り添う総合窓口
  • 第2章:いつまでもお元気に。介護予防と生きがいづくりのススメ
  • 第3章:もしもの時に備える・支える「介護保険サービス」
  • 第4章:介護保険だけじゃない大田区独自のきめ細やかな支援策
  • 第5章:認知症になっても安心して暮らせるまちづくり

第1章:まずは相談。あなたの暮らしの「困った」に寄り添う総合窓口

「最近、親の足腰が弱ってきた気がするけど、どこに相談すればいいのかしら?」

「介護保険の申請って、何から始めたらいいの?」

「ご近所の一人暮らしのお年寄りのことが、少し心配…」

暮らしの中での不安や困りごとは、突然やってくるものです。そんな時、「どこに相談したらいいか分からない」という声を、私はよく耳にします。大田区では、そんな皆様の最初の駆け込み寺として、身近な地域に頼れる総合相談窓口を設置しています。

■地域包括支援センター(愛称:シニアステーション)

まず覚えていただきたいのが、この「地域包括支援センター(シニアステーション)」です。これは、高齢者の皆様が住み慣れた地域で安心して生活を続けられるように、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーといった専門職がチームを組んで、介護、福祉、健康、医療など、様々な面から総合的に支えるための拠点です。

大田区内には、中学校の学区域などを目安に19か所設置されており、お住まいの地域によって担当のセンターが決まっています。まさに「ご近所の相談役」と言える存在です。

シニアステーションの主な役割は、以下の4つです。

  1. 総合相談支援
    文字通り、高齢者の皆様に関する「なんでも相談窓口」です。ご本人からはもちろん、ご家族やご近所の方からの相談も受け付けています。「こんな些細なことで…」とためらう必要は全くありません。専門スタッフが親身にお話をお伺いし、どのような支援が必要かを一緒に考え、適切なサービスや機関につないでくれます。秘密は厳守されますので、安心してご相談ください。
  2. 権利擁護
    高齢者の皆様が持つ様々な権利を守るための支援も行います。例えば、悪質な訪問販売の被害に遭わないための消費者被害の防止、成年後見制度の紹介、高齢者虐待の早期発見・対応など、専門的な視点から皆様の暮らしと財産を守ります。判断能力に不安が出てきた場合のご相談も、まずはこちらが窓口となります。
  3. 介護予防ケアマネジメント
    要介護状態になることを防ぎ、いつまでもお元気に自立した生活を送れるよう支援することも、重要な役割です。要支援1・2と認定された方や、基本チェックリストにより「事業対象者」と判断された方に対して、その方の状態に合わせた介護予防ケアプランを作成し、サービスの利用をサポートします。第2章で詳しくご紹介する「介護予防事業」への参加を促すのも、シニアステーションの仕事です。
  4. 包括的・継続的ケアマネジメント
    少し難しい言葉ですが、地域の様々な機関と連携して、高齢者の皆様を多方面から支えるネットワークを構築する役割です。地域のケアマネジャーへの支援や助言を行ったり、医療機関、民生委員、町会・自治会、ボランティア団体などと連携したりすることで、お一人おひとりを地域全体で支える体制づくりを進めています。

まずは、ご自身の、あるいはご家族のお住まいの地域を担当するシニアステーションがどこにあるのかを、ぜひ一度ご確認いただければと思います。大田区のホームページや、区が発行する「高齢者福祉のしおり」で簡単に調べることができます。

第2章:いつまでもお元気に。介護予防と生きがいづくりのススメ

高齢者支援というと、どうしても「介護」のイメージが先行しがちですが、私が最も力を入れていきたいと考えているのが、この「介護予防」と「生きがいづくり」の分野です。要介護状態になるのを未然に防ぎ、あるいは進行を緩やかにし、お一人おひとりが社会とのつながりを持ちながら、いきいきと自分らしい毎日を送ること。これこそが、ご本人の幸せと、持続可能な社会保障制度の維持、双方にとって不可欠であると考えております。

最近よく耳にする「フレイル」という言葉をご存知でしょうか。これは、加齢とともに心身の活力が低下し、要介護状態に陥りやすい「虚弱」な状態を指します。しかし、このフレイルは、早期に気づき、適切な対策を行うことで、健康な状態に戻ることができると言われています。大田区では、このフレイル予防の観点から、様々な事業を展開しています。

■体を動かす「通いの場」に参加してみませんか?

介護予防の基本は、やはり「体を動かすこと」「社会とつながること」です。家に閉じこもりがちになると、心身の機能はあっという間に低下してしまいます。大田区では、身近な場所で気軽に参加できる「通いの場」を数多く用意しています。

  • いきいきシニアのからだづくり教室
    シニアステーションなどが中心となり、主に65歳以上の方を対象に、転倒予防や筋力向上を目的とした体操教室を開催しています。専門の指導員のもと、無理なく楽しく体を動かすことができます。同じ目標を持つ仲間との交流も、大きな魅力です。
  • オーラルフレイル予防教室
    「口の衰え」を意味するオーラルフレイルにも着目しています。しっかり噛んで、美味しく食事をすることは、全身の健康維持に直結します。この教室では、お口の体操や正しいケアの方法を学び、食べる力、話す力を維持・向上させます。

その他にも、各シニアステーションや地域の団体が、趣味の会やサロン活動など、多種多様な「通いの場」を企画・運営しています。ご自身の興味や体力に合わせて、ぜひ一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

■楽しみながら健康に。大田区はつらつシニア推進事業

「どうせなら、楽しく健康づくりをしたい」という声にお応えするのが、この「大田区はつらつシニア推進事業」です。

これは、区が指定する介護予防事業やボランティア活動などに参加するとポイントが貯まり、貯まったポイントに応じて記念品と交換できるという、インセンティブ(動機づけ)を活用したユニークな取り組みです。

対象となる活動は、前述の「からだづくり教室」への参加から、地域のイベントでのボランティア、認知症サポーター養成講座の受講まで、非常に幅広く設定されています。社会参加をすることが、ご自身の健康増進につながり、さらに記念品ももらえる。こうした「良い循環」を生み出すことで、介護予防への参加の裾野を広げていくことを目指しています。

■働く喜び、社会とのつながりを再び「シルバー人材センター」

長年培ってきた経験やスキルを、まだまだ地域社会で活かしたい。そんな意欲あふれるシニアの皆様を支援するのが「大田区シルバー人材センター」です。

植木の剪定、家事援助、駐輪場の管理、学童の見守りなど、多様な仕事を提供し、就労を通じて高齢者の皆様の健康維持、生きがいづくり、そして地域社会への貢献を促進しています。

働くことは、収入を得るという側面だけでなく、「誰かの役に立っている」という実感や、社会とのつながりを保つ上で、非常に大きな意味を持ちます。定年退職後も、ご自身のペースで活躍できる場があるということは、大田区の大きな財産です。

これらの事業は、いわば「元気なうちからの投資」です。いきいきとしたシニアライフを送るために、ぜひ積極的にご活用いただきたいと思います。

第3章:もしもの時に備える・支える「介護保険サービス」

どれだけ介護予防に努めていても、年齢を重ねれば、誰にでも介護が必要となる可能性はあります。そんな「もしもの時」に、私たちを社会全体で支えてくれる仕組みが「介護保険制度」です。この制度は、40歳以上の国民が納める保険料と税金を財源として運営されており、必要になった時に、費用の1割~3割(所得に応じて変動)の自己負担で様々なサービスを利用することができます。

制度の詳細は複雑な部分もありますが、ここでは、大田区で利用できる代表的なサービスと、利用までの大まかな流れをご説明します。

■サービスの利用までの流れ

  1. 相談・申請
    まず、お住まいの地域を担当するシニアステーションや、区役所高齢者福祉課、地域庁舎の窓口に相談し、「要介護(要支援)認定」の申請を行います。
  2. 認定調査・主治医意見書
    申請後、大田区の認定調査員がご自宅などを訪問し、心身の状態についてご本人やご家族から聞き取り調査を行います。並行して、区から主治医に、病状などについての意見書作成を依頼します。
  3. 審査・判定
    認定調査の結果と主治医の意見書をもとに、保健・医療・福祉の専門家で構成される「介護認定審査会」が、介護の必要度を審査・判定します。
  4. 結果の通知
    判定結果に基づき、「要支援1・2」「要介護1~5」あるいは「非該当(自立)」といった区分が決定され、ご本人に通知されます。
  5. ケアプランの作成・サービスの利用開始
    認定結果が出たら、次は「どのようなサービスを、どのくらい利用するか」という具体的な計画書(ケアプラン)を作成します。
  • 要支援1・2の方:シニアステーションがケアプラン(介護予防サービス計画)を作成します。
  • 要介護1~5の方:居宅介護支援事業者を選び、そこのケアマネジャー(介護支援専門員)にケアプラン作成を依頼します。

ケアマネジャーは、ご本人やご家族の希望を丁寧に聞き取り、心身の状態や生活環境に合わせて、最適なサービスの組み合わせを提案してくれる、介護における最も身近で頼れる専門家です。

■大田区で利用できる主な介護保険サービス

【在宅で暮らし続けるためのサービス】

  • 訪問介護(ホームヘルプサービス)
    ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事や入浴、排せつなどの介助(身体介護)や、掃除、洗濯、調理などの援助(生活援助)を行います。
  • 訪問看護
    看護師などが自宅を訪問し、主治医の指示に基づいて、病状の観察や医療的な処置、療養上のケアを行います。
  • 通所介護(デイサービス)
    日帰りで施設に通い、食事や入浴などの支援を受けたり、レクリエーションや機能訓練を行ったりします。閉じこもりを防ぎ、心身機能の維持向上を図るとともに、ご家族の介護負担を軽減する役割も担っています。
  • 短期入所生活介護(ショートステイ)
    一時的に施設に宿泊し、日常生活上の支援や機能訓練を受けられるサービスです。ご家族が病気や冠婚葬祭、旅行などで一時的に介護ができない場合に活用できます。
  • 福祉用具の貸与・購入費の助成
    車いすや特殊寝台(介護用ベッド)、手すり、歩行器などのレンタルや、ポータブルトイレや入浴用品などの購入にかかる費用の一部が助成されます。
  • 住宅改修費の助成
    手すりの取り付けや段差の解消、和式トイレから洋式トイレへの変更など、自宅での生活を安全に続けるための小規模な住宅改修にかかる費用の一部が助成されます。

【施設に入所して受けるサービス】

  • 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
    常時介護が必要で、自宅での生活が困難な方が入所する施設です。生活全般にわたる介護が提供されます。
  • 介護老人保健施設(老健)
    病状が安定し、リハビリに重点を置いて在宅復帰を目指すための方が、一定期間入所する施設です。
  • グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
    認知症の高齢者が、5人~9人程度の少人数で共同生活を送りながら、専門スタッフの支援のもとで、できる限り自立した生活を目指す施設です。

これらは代表的なサービスであり、この他にも、より地域に密着した「小規模多機能型居宅介護」など、様々なサービスがあります。どのサービスがご自身に合っているのか、ぜひケアマネジャーやシニアステーションにご相談ください。

第4章:介護保険だけじゃない大田区独自のきめ細やかな支援策

介護保険は非常に心強い制度ですが、全ての「困りごと」をカバーできるわけではありません。例えば、要介護認定で「非該当(自立)」と判定された方の中にも、日常生活でちょっとした手助けを必要としている方はいらっしゃいます。また、制度の対象ではあっても、それだけでは埋めきれないニーズも存在します。

大田区では、こうした介護保険制度を補完し、より幅広い高齢者の皆様の暮らしを支えるため、区独自の福祉サービス(上乗せ・横出しサービス)を数多く展開しています。ここでは、その一部をご紹介します。

■日常生活を支えるサービス

  • 配食サービス
    食事の支度が困難な一人暮らしの高齢者などを対象に、栄養バランスの取れた食事をご自宅にお届けするサービスです。単に食事を提供するだけでなく、配達員が毎日顔を合わせることで、安否確認という非常に重要な役割も担っています。これは、地域での見守りネットワークの核となる事業であり、私もその重要性を実感しております。
  • 緊急通報システム
    一人暮らしの高齢者などで、急病や災害時などに不安のある方のご自宅に、緊急通報装置を設置します。ボタン一つで受信センターにつながり、状況に応じて救急車の手配や協力員への連絡が行われます。この「いざという時の安心感」は、何物にも代えがたいものです。
  • 寝具乾燥・水洗いサービス
    寝具を衛生的に保つことが困難な高齢者の方を対象に、専門業者がご自宅まで寝具を回収に伺い、乾燥や丸洗いを行うサービスです。衛生環境の改善は、感染症予防にもつながります。
  • 理美容サービス
    寝たきりなどの理由で、理髪店や美容院に出かけることが困難な方のご自宅に、理容師・美容師が訪問してカットなどを行うサービスです。身だしなみを整えることは、心の健康を保つ上でも非常に大切です。
  • 紙おむつ等の支給
    常時おむつを必要とする在宅の高齢者の方に対して、紙おむつや尿取りパッドなどを現物支給、または購入費の助成を行っています。介護にかかる経済的負担を少しでも軽減するための、切実なニーズに応える事業です。

■住み慣れた家で暮らし続けるための支援

  • 高齢者向け住宅の提供
    区営の「シルバーピア(高齢者集合住宅)」など、高齢者の方々が安全・快適に暮らせるよう配慮された住宅を提供しています。安否確認や生活相談を行うライフサポートアドバイザーが配置されているのが特徴です。
  • 高齢者住宅設備改修費助成事業
    介護保険の住宅改修とは別に、区独自の基準で、浴槽の交換や流し台の高さ調整など、高齢者の身体状況に合わせた住宅改修費用の助成を行っています。

■権利と尊厳を守るために

  • 成年後見制度利用支援事業
    判断能力が不十分になった方の財産管理や契約行為などを法的に支援する「成年後見制度」について、利用が必要であるにもかかわらず、費用の負担が困難な方に対して、申立て費用や後見人等への報酬を助成します。

これらの区独自のサービスは、まさに「かゆいところに手が届く」支援です。制度の狭間で困っている方を一人も見捨てない、という大田区の強い意志の表れであると私は考えています。対象となる条件などがそれぞれ定められていますので、詳しくはシニアステーションや区役所にお問い合わせください。

第5章:認知症になっても安心して暮らせるまちづくり

高齢者支援を語る上で、避けては通れないのが「認知症」への対応です。認知症は、誰にでも起こりうる脳の病気によるものであり、決して特別なことではありません。大切なのは、認知症になったご本人も、そのご家族も、孤立することなく、これまでと変わらず地域の中で安心して暮らし続けられる社会を、私たち全員で創り上げていくことです。大田区は「認知症にやさしいまち」を目指し、多角的な取り組みを進めています。

■認知症かな?と思ったら…早期からの相談支援体制

認知症は、早期に発見し、適切な対応を始めることが、症状の進行を緩やかにし、その後の生活の質を維持する上で非常に重要です。

  • おれんじ(認知症初期集中支援チーム)
    「最近、物忘れがひどくなった」「もしかして認知症かもしれないけど、病院に行きたがらない」…そんなご家族の悩みに応えるのが、この「おれんじ」です。
    これは、認知症の専門医や看護師、社会福祉士などの専門職で構成されるチームで、ご本人やご家族の元を訪問し、医療機関への受診勧奨や、介護サービスの利用に向けた初期の支援を集中的に行います。医療と介護をつなぐ、頼れる専門家集団です。

■ご本人とご家族を地域で支える取り組み

認知症のケアは、ご家族だけで抱え込むものではありません。地域全体で支え、理解を深めていくことが不可欠です。

  • 認知症カフェ(愛称:オレンジカフェ)
    認知症の方やそのご家族、地域住民、専門職など、誰もが気軽に集い、情報交換や交流ができる場です。お茶を飲みながら、日頃の悩みを分かち合ったり、専門家に相談したりすることで、介護の負担感や孤立感が和らぎます。区内各所で様々な団体が運営しており、地域の温かい居場所となっています。
  • 認知症サポーター養成講座
    認知症について正しく理解し、認知症の方やそのご家族を温かく見守る「応援者(サポーター)」を増やすための講座です。私もこの講座を受講しましたが、認知症の方への接し方一つで、ご本人の不安が大きく軽減されることを学びました。特別なことをするのではなく、偏見を持たず、温かい目で見守ること。こうした「心のバリアフリー」が、まち全体に広がっていくことが重要です。現在、大田区には10万人を超える認知症サポーターが誕生しています。
  • 行方不明高齢者等SOSネットワーク
    認知症などにより、外出先から自宅に戻れなくなってしまう、いわゆる「徘徊」は、ご家族にとって最も心配なことの一つです。このネットワークは、事前に行方不明になる可能性のある方の情報を登録しておき、万が一の際に、区や警察、地域の協力機関が連携して、早期発見・保護につなげる仕組みです。
  • 認知症高齢者等への個人賠償責任保険事業
    認知症の方が、誤って他人にケガをさせてしまったり、他人の物を壊してしまったりした場合に備え、区が保険料を負担して個人賠償責任保険に加入する事業です。これにより、ご家族の精神的・経済的な負担を軽減し、安心して地域で暮らし続けられる環境を支えています。

これらの取り組みは、認知症を「個人の問題」ではなく「社会全体で支えるべき課題」として捉える、大田区の姿勢を示すものです。ご本人の尊厳が守られ、ご家族が笑顔で介護を続けられる。そんな地域社会の実現に向け、私も引き続き、施策の充実を求めてまいります。

おわりに

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。

ここまで、大田区の高齢者支援について、相談窓口から介護予防、介護保険、区独自のサービス、そして認知症支援に至るまで、その全体像をご紹介してまいりました。

改めて強く感じるのは、大田区には、先人たちが築き上げ、そして今を生きる私たちが発展させてきた、実に手厚く、多岐にわたる支援の仕組みがあるということです。しかし同時に、これらの制度が「絵に描いた餅」になってはならない、という危機感も抱いています。

支援とは、行政が一方的に「与える」ものではありません。区民の皆様お一人おひとりが、ご自身の状況や希望に合わせて、主体的に情報を探し、サービスを「使いこなし」、そして時には、既存の制度に足りない部分を私たち議員や行政に「声を届けて」くださる。そうした双方向の関係性の中で、初めて真に価値のあるものへと成長していくのだと思います。

そして、制度だけでは埋められない「心のつながり」こそが、これからの地域社会には不可欠です。ご近所での挨拶や、ちょっとした声かけ。困っている人がいたら、シニアステーションにそっと繋いであげる優しさ。そうした、私たち一人ひとりができる小さな支え合いの輪が、この大田区を、誰にとっても「終(つい)の棲家(すみか)」として誇れる、温かいまちにしていくのだと信じています。

私、佐藤なおみも、大田区議会議員として、皆様の声を区政に届け、より使いやすく、より温かい支援制度を構築していくために働いていきたいと思います。

今日のこのブログが、皆様へ安心材料として様々なきっかけとなれば、これに勝る喜びはありません。

何かございました際はいつでも、お気軽にお声がけください。

大田区議会議員 佐藤 なおみ

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