はじめに:見えない「痛み」に気づくために
皆さんは「いじめ」と聞くと、どのような光景を思い浮かべるでしょうか。教室の隅でひとりぼっちの子ども、SNS上での悪口や無視。最近では子どもたちが表面上は仲良くしているように見えても、水面下で心を傷つけ合うケースが増えています。
大田区でも学校現場やご家庭から「いじめではないか」「どう対応したらよいかわからない」というご相談が後を絶ちません。私はこれまで教育委員会や学校、そして保護者の皆さまと話し合う中で「いじめはどこにでも起こりうる」という現実を痛感しています。
いじめの現状:数字の裏にある子どもたちの声
文部科学省の調査によると、全国で年間60万件以上のいじめが報告されています。大田区でも報告件数は年々増加傾向にあります。一見「増えている」ように見えるこの数字、しかし、私はこれを「悪化」と捉えるのではなく、「ようやく表に出てきた声」と考えています。以前は子どもたちが声を上げられず、教師も「いじめ」と認定しにくい状況が多くありました。つまり、数字の裏には“勇気を出して助けを求めた子どもたちの存在”があるのです。
大田区の取り組み:一人ひとりの命を守る教育へ
大田区では学校ごとに「いじめ防止基本方針」を策定し、定期的に児童生徒アンケートを実施しています。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置を進め、子どもだけでなく保護者も相談できる体制が整いつつあります。さらに、地域と連携した見守り活動、SNSいじめ対策、教師への研修も行われています。
しかし、現場の先生方からは「相談件数が増え対応が追いつかない」「教職員の人員が足りない」という声も少なくありません。制度や方針があっても最前線で動く人がいなければ実効性は薄れてしまいます。
問題点・課題点:大人の“無関心”がいじめを助長する
いじめは子どもたちだけの問題ではありません。
「見て見ぬふり」や「そのうち落ち着く」という大人の無関心こそがいじめを長引かせ、深刻化させる原因の一つです。ある保護者からは、「学校に相談したが“子ども同士のトラブル”として扱われた」との声も届きました。
私はこうした声をもとに「初期段階での迅速な対応」「第三者による調査」「保護者との情報共有の在り方」などを検討し、改善の方法を熟慮して参りました。今後は学校・家庭・地域・行政が“チーム”として連携し、子ども一人ひとりを支える仕組みが必要だと考えており、単に「いじめをなくそう」というスローガンではなく、「子どもが安心して助けを求められる社会」をつくることが大切だと認識しております。
わたしの経験:貧しさと孤独の中で
実は私自身も子どものころ、家庭の事情でとても貧しく、学校でいじめを受けた経験があります。新しい服を買ってもらえず、給食費を滞納した時期もありました。そんなとき、クラスメートの一人に「貧乏」と言われたことを今でも鮮明に覚えています。
その言葉がどれほど心をえぐったか――。
でも、当時の私を支えてくれたのは、たった一人の先生の存在でした。その先生は「なおみさん大丈夫。あなたの価値はお金じゃないよ」と言ってくれたのです。その言葉にどれだけ救われたか、言葉にできません。今、議員として教育の現場に関わる立場になり、あのときの自分のように苦しんでいる子どもたちを思うと「あの先生のように誰かを守れる人になりたい」と強く感じています。
いじめをなくすために私たちにできること
いじめは特別な場所で起こるものではありません。
家庭でも地域でもSNSの中でも、子どもたちは日々小さな「孤立」と戦っています。
私たち大人ができること――
それは「気づく」「聴く」「信じる」ことです。
* 学校の先生が忙しそうでも保護者がためらわず相談できる場をつくる。
* 匿名でも安心して話せる窓口を広げる。
その一歩一歩が、いじめを防ぐ力になります。
最後に:一人で悩まないでください
もし今、いじめで苦しんでいるお子さん、またはそのご家族がこの記事を読んでくださっているならどうか覚えていてください。あなたは一人ではなく声を上げることは決して恥ずかしいことではありません。
どんなに小さな相談でも構いません。
私は大田区の議員として、そして一人の母親として皆さんの声を受け止め、大田区の教育現場にしっかり届けてまいります。
どうか一人で抱え込まずに――
いじめや学校生活に関するお悩みは佐藤なおみまでお気軽にご相談ください。
大田区議会議員 佐藤 なおみ
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