大田区お役立ち情報

大田区議会議員の給料(年収)や仕事、そして税金や使い道。皆様の疑問に答えます。

皆さん、こんにちは!
大田区議会議員の佐藤なおみです。

日頃より、駅頭でのご挨拶や地域での活動を通じ、多くの皆様から温かい励ましのお言葉をいただき、心より感謝申し上げます。「佐藤さん、いつも頑張ってるね!」「この前の議会質問、良かったよ!」――そんな一言一言が、私の活動の大きな原動力となっています。

そうした中で、地域の皆様と直接お話ししていると、政治活動そのものへのご意見と同時に、こんな素朴なご質問をいただく機会が少なくありません。

「議員さんって、議会が開かれていない時期は、一体毎日何をしているの?」
「委員会って何?本会議とどう違うの?」

「少し聞きにくいんだけど…正直なところ、お給料ってどのくらい貰っているの?税金とか、引かれるものは引かれるの?」

これらのご質問は、決して野次馬的な興味からではなく、ご自身の納めた税金がどのように使われ、自分たちの代表者がどのような生活基’礎の上に、どのような想いで活動しているのかを知りたいという、有権者として至極当然の関心から来るものだと受け止めています。

むしろ、こうした疑問に対して、私たち議員自身が透明性を持って、誠実に、そして具体的にご説明する責任があると考えています。なぜなら、政治への信頼は、政策の中身はもちろんのこと、こうした日々の活動への理解と共感なくしては成り立たないからです。

そこで本日は、いつもより少し長いブログになりますが、「大田区議会議員のリアル」と題して、私の仕事内容、年間スケジュール、そして皆様が最も関心をお持ちかもしれない報酬や税金の話まで、普段あまり語られることのない舞台裏を、包み隠さず、できる限り詳細にお話しさせていただこうと決意しました。

このブログを読み終えた時、「なるほど、議員ってこういう活動をしているのか」「税金から報酬を得るって、こういうことなんだな」と、少しでも皆様の政治への理解が深まり、私、佐藤なおみを、そして区議会を、より身近に感じていただけたなら、これに勝る喜びはありません。

少し長くなりますが、どうぞ最後までお付き合いいただけますと幸いです。

第一章:議員の「二つの顔」- 年間スケジュール徹底解剖

まず初めに、「議員は議会がない時、何をしているの?」という疑問にお答えします。
私たちの活動は、大きく分けて「議会モード」と「地域モード」という、二つの異なるフェーズを行き来するサイクルで成り立っています。この二つは全く別の仕事というわけではなく、地域で得た課題を議会に届け、議会で決まったことを地域に還元するという、車の両輪のような関係です。

【議会モード】政策立案に集中 定例会と委員会の世界(年間約100日間)

テレビでよく見る、議員が議場で質問している姿。あれがまさに「議会モード」のハイライトです。
大田区議会では、2月、6月、9月、11月の年4回、「定例会」と呼ばれる公式な会議が招集されます。この定例会こそが、区の法律である条例を制定・改正したり、一年間の区の活動方針を決める予算を審議したり、区民の皆様の生活に直結する重要な意思決定を行う、区議会の最も重要な役割を果たす期間です。

一つの定例会は、準備期間を含めると約1か月に及びます。つまり、年間のおよそ3分の1は、この「議会モード」に集中していることになります。

■ 本会議:全議員による最終意思決定の場

本会議は、定数50名の全議員が一堂に会し、議案に対する最終的な賛否を表明する場です。ここでは、私のような一議員が区長や担当部長に対し、区政全般について直接質問をぶつける「一般質問」が行われます。

この一般質問こそが、議員にとって最大の腕の見せ所。地域の皆様から頂いた「公園の砂場が危ない」「保育園の待機児童を何とかしてほしい」といった切実な声を、単なる要望で終わらせるのではなく、「なぜこの問題が起きているのか(現状分析)」「他の自治体ではどう解決しているのか(事例調査)」「大田区として具体的にどのような対策を講じるべきか(政策提言)」という形で、責任ある対案として区に突きつけます。

わずか数十分の質問時間のために、何週間もかけて関連資料を読み込み、現場に足を運び、専門家の意見を聞き、そして区の担当者と事前協議を重ねます。皆様の声が、具体的な政策として実を結ぶかどうかが懸かかる、まさに真剣勝負の場なのです。

■ 委員会:専門分野を深く掘り下げる「分科会」

一方で、区の仕事は非常に多岐にわたります。福祉、教育、まちづくり、環境、産業振興…。これら全ての議案を50人の議員全員でゼロから議論するのは非効率です。
そこで、より専門的かつ効率的に審議を行うために設置されているのが「委員会」です。

大田区議会には4つの「常任委員会」があり、私は「こども文教委員会」や「健康福祉委員会」などに所属してきました。

総務財政委員会: 区の予算・決算、税金、防災、DX推進など、区政の根幹に関わる分野を担当。
地域産業委員会: 商店街の活性化、中小企業支援、観光、文化振興、空港対策などを担当。
健康福祉委員会: 高齢者福祉、障害者支援、子育て支援、国民健康保険、医療などを担当。
こども文教委員会: 保育園、幼稚園、小中学校、生涯学習、スポーツ、青少年健全育成などを担当。

委員会では、本会議に提出される前の議案について、担当部署の職員から詳細な説明を受け、委員である議員たちが集中的に質疑を行います。ここでは、より専門的で、時には非常に細かい論点が交わされます。「この事業の費用対効果は本当にあるのか?」「この条例案には、こういう抜け穴があるのではないか?」といった、まさに政策を磨き上げるための議論が日夜繰り広げられているのです。

この委員会での審査を経て、議案は本会議へと送られます。つまり、委員会は本会議での円滑な審議を支える、いわば“縁の下の力持ち”のような存在なのです。

【地域モード】議員活動の原点。区民の声を聴き、現場を歩く(議会がない約265日間)

では、議会が閉会している残りの期間、私たちは何をしているのでしょうか。
決して長期休暇を取っているわけではありません。むしろ、この「地域モード」の期間こそが、議員活動の質を決定づける最も重要な時間だと、私は考えています。議会での質問や提案は、この地域モードでの地道な活動の積み重ねなくしては生まれてこないからです。
具体的にどのような活動をしているのか、私のとある一日を例にご紹介します。

とある議員の1日(地域モード編)

午前7:00〜8:30 【駅頭活動】※毎日行うわけではありません。
私のとある朝は、区内の駅に立つことから始まります。通勤・通学で忙しく行き交う皆様に「おはようございます!」とご挨拶し、前回の定例会での活動内容をまとめた「佐藤なおみ区政報告ニュース」をお配りします。
「いつも読んでるよ」「この問題、取り上げてくれてありがとう」そんなお声がけを頂くこともあれば、時には厳しいご意見を頂戴することもあります。皆様のリアルな反応を肌で感じられる、私にとって欠かせない情報収集の場です。

午前10:00〜12:00 【区民相談】
自宅に戻ると、事前にご予約いただいた区民の方からの相談に対応します。内容は本当に様々です。「親の介護のことで悩んでいる」「マンションの騒音トラブルが解決しない」「子どもがいじめにあっているかもしれない」…。
もちろん、私が直接すべてを解決できるわけではありません。しかし、お話をじっくりと伺い、内容を整理し、区役所の適切な窓口や、時には弁護士などの専門家にお繋ぎするだけでも、ご相談者様の心の負担は大きく軽減されます。皆様の「駆け込み寺」のような存在でありたいと、常に願っています。

午後1:00〜3:00 【現地調査・担当課との協議】
午後は、頂いたご相談やご意見に関連する現場へ。例えば「この道の見通しが悪くて危ない」というお声があれば、実際にその場所に立ち、時間帯による交通量の変化や、危険なポイントを自分の目で確かめます。

その後、写真や地図を手に区役所の道路管理課へ。「現状はこうなっており、特に朝の通学時間帯が危険です。カーブミラーの設置を検討いただけませんか?」と、具体的なデータに基づいて改善を要請します。このように、皆様の漠然とした不安を、行政を動かすための「具体的な課題」へと翻訳していくのが、私の大切な役割です。

午後3:00〜6:00 【地域活動への参加】
この時間は、町内会の会合、商店街のイベント、NPO法人の活動報告会など、地域で行われている様々な催しに顔を出させていただきます。

こうした場は、一度に多くの区民の皆様と交流できる貴重な機会。世間話を交わす中で、「最近、この辺りも空き家が増えて心配だね」「新しいスーパーができて便利になったよ」といった、データだけでは見えてこない地域の“生きた情報”に触れることができます。

夜7:00〜9:00 【勉強会・情報発信】
夜は、政策テーマごとの勉強会や、所属する会派の会議に出席することが多いです。法律の改正や国の新しい政策動向など、常に知識をアップデートし続けなければ、的確な議会質問はできません。

その後、自宅に戻り、今日一日の活動をブログやSNSで発信します。私の活動を皆様に知っていただくことはもちろん、「今、大田区ではこんなことが課題になっている」という情報を共有し、区政への関心を高めていただくことも、情報発信の重要な目的です。

第二章:お金のリアル-報酬、ボーナス、税金、そして使い道

さて、ここからは、皆様が最も気になっているであろう「お金」の話に踏み込みたいと思います。
私たち議員の報酬は、誰か個人の裁量で決められるものではなく、区民の代表である議会の議決を経て制定された「大田区議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例」という、いわば“お給料のルール”に基づいて、全ての議員に一律で支払われています。

【収入編】報酬とボーナスの具体的な金額

それでは、条例に基づいた具体的な金額を見ていきましょう。
(※以下の金額は、議長・副議長や委員長などの役職に就いていない、私のような一般議員のものです)

■ 議員報酬(月額)

月額:619,600円
これが、いわゆる毎月のお給料にあたる部分です。
年額にすると、619,600円 × 12か月 = 7,435,200円 となります。

■ 期末手当(ボーナス)
議員にも、会社員の方と同じようにボーナスが支給されます。これは「期末手当」と呼ばれ、6月と12月の年2回、支給されます。
計算方法が少し複雑なのですが、以下のようになっています。

計算式: (報酬月額 + 報酬月額 × 0.45 + 報酬月額 × 0.20) × 支給月数
6月期: 1.675か月分
12月期: 1.675か月分
年間合計:3.35か月分
これを基に、年間の期末手当を計算してみましょう。
まず、計算の基礎となる額は、
619,600円 + (619,600円 × 0.45) + (619,600円 × 0.20) = 619,600円 + 278,820円 + 123,920円 = 1,022,340円
年間の支給額は、
1,022,340円 × 3.35か月 = 3,424,839円

■ 年収の合計
これらを合計すると、議員としての年間の総支給額(いわゆる「額面年収」)が算出できます。
7,435,200円(年間報酬) + 3,424,839円(年間期末手当) = 10,860,039円
約1,086万円。これが、大田区議会議員の年収となります。

この金額をご覧になって、「やはり高いな」と感じられる方も、「意外とそれくらいなのか」と感じられる方も、様々だと思います。しかし、重要なのはここからです。この1,086万円が、そのまま私の銀行口座に振り込まれ、自由に使えるわけでは決してなく、ここから税金や社会保険料が引かれます。

社会保険料(国民健康保険料+国民年金保険料):
議員は会社の健康保険や厚生年金には入れないため、国民健康保険と国民年金に自身で加入します。私の所得の場合、国民健康保険料は上限額に達するため、年間で約125万円ほどになります。
税金(所得税+住民税):
上記の社会保険料などを控除した後の所得に対して税金がかかります。計算すると年間で約175万円ほどになります。

つまり、額面年収1,086万円から、
125万円(社会保険料)+ 175万円(税金)= 合計 約300万円
が天引きされることになります。

その結果、手取りの年収は、約786万円(1,086万円 – 300万円)となります。
この手取りの中から、私たちは日々の生活を営み、そして後述する「自己負担の活動費」を捻出しているのです。

【経費編①】税金から支給される「政務活動費」とは?

「議員の活動費は、全部自分のお給料から出しているの?」
答えは「いいえ」です。議員の調査研究や広報活動を保障するために、報酬とは別に、税金を財源とする「政務活動費」という経費が会派(または議員)に支給されます。

これは、あくまで活動のための経費であり、議員個人の給与ではありません。大田区では、議員一人あたり月額23万円(年間276万円)が上限として定められています。

■ 政務活動費の主な使い道

このお金の使い道は、条例で厳しく定められています。何に使ったかは、1円単位で領収書を添付して議会に報告する義務があり、その内容は全て区民の皆様に公開されます。私の主な使い道は以下の通りです。

広報・広聴費:
議会・委員会動画の編集代
「佐藤なおみ区政報告ニュース」のデザイン料、印刷代
区政報告ニュースを皆様のご家庭にお届けするためのポスティング費用
調査研究費:
先進的な取り組みを行う他の自治体への視察に要する交通費・宿泊費
政策立案の参考にするための書籍や資料の購入費
専門家を招いた勉強会や、有料セミナーへの参加費
※内容によっては自己負担の割合が変わります。

このように、政務活動費は、議員が政策能力を高め、その活動を区民の皆様に広くお伝えするために不可欠な経費です。透明性を確保し、適正に執行することが、私たち議員に課せられた重い責任です。

【経費編②】手取りから支払う「自己負担」の活動費

では、政務活動費があれば、活動に関する支出はゼロになるのでしょうか?
これも答えは「いいえ」です。政務活動費では支出することが認められていない、あるいは馴染まない経費も現実に存在し、それらは議員個人の「自己負担」、つまり先ほどの手取り約786万円の中から支払う必要があります。

事務所費(家賃・光熱費など):
区民の皆様からのご相談に応じるための事務所。その家賃や光熱費は、政務活動費(大田区では半分を政務費で補填)で賄うことも可能ですが、後援会活動など政治活動と一体の側面もあるため、自己負担の議員もいるようです。これは議員の考え方によって様々です。
人件費:
事務作業や広報物の配布を手伝ってくれるスタッフへの給与。これも事務所費と同様の理由で、自己負担の方もいれば政務費から支出している人もいます。
純粋な政治活動に関わる費用:
政務活動費はあくまで「調査研究広報」のためであり、選挙活動に直接結びつくようなビラやポスターの作成には使えません。これらは自己負担となります。
地域とのお付き合いに関わる費用:
町内会や商店街の会費、地域のお祭りへの寄付や陣中見舞い、支援者の方との会合費、お世話になった方の冠婚葬祭費など。これらは地域の皆様との円滑な関係を築く上で欠かせないものですが、当然ながら政務活動費の対象外であり、すべて自己負担です。
その他:
所属する政党の党費や、活動で使う車両の維持費、ガソリン代なども、基本的には自己負担となります。

これらの自己負担額は、議員の活動スタイルによって大きく異なりますが、私の場合は年間で相当な金額になります。
もちろん、ここから子育てや自身の生活費も支払います。

おわりに

ここまで、私の仕事、そしてお金のリアルについて、詳細にお話しさせていただきました。
この長いブログを通して私が伝えたかったのは、「議員は大変なんです」ということでは決してありません。

額面で約1,086万円の報酬をいただく。そこから約300万円の税金・社会保険料を納め、手取りは約786万円となる。一方で、年間276万円を上限とする政務活動費を、厳格なルールの下で活用し、区政報告や政策研究を行う。それでも賄いきれない事務所費や地域とのお付き合いにかかる経費は、手取りの中から自己負担する。

また、我が家には3人(大学生2人、高校生1人)の学生に対する学費の支払いや子育ての生活費もかかります。学校の教育は完全無償化ではなく、実質無償化というもので全く負担がかからないというものではありません。さらに概算収入が高いため3人同時に大学生となった場合でも我が家では奨学金を借りることが出来ません。

これが、偽りのない経済的な実態です。

区議会議員の報酬が高いのか、一般的なのかは有権者の皆様の判断にお任せするとして、皆様の税金から報酬と活動費をいただいているという責任を忘れたことはありません。私は議員になる前と同じようにスーパーで買い物をし、日々の家計を考えながら生活しています。その生活者としての感覚こそが、机上の空論ではない、血の通った政策を生み出すための礎になると信じているからです。

政治への信頼は、こうした一つ一つの情報の透明性から生まれると信じています。
これからも、皆様からの厳しいご意見も含めて真摯に耳を傾けてまいります。

この長い文章を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
皆様と共にこの大田区を、もっと暮らしやすい、もっと希望の持てるまちにしていくためにしていけたらと思います。

今後とも、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

大田区議会議員 佐藤 なおみ

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