こんにちは。大田区議会議員の佐藤なおみです。
「少子化」は、もはや日本全体の未来を左右する大きな課題です。ここ大田区も例外ではなく、「子育てしやすいまちなのか?」という問いは、区の将来にとって非常に重要な意味を持っています。
大田区では、子育て世帯を応援するための様々な取り組みが進められています。今回は、区が実施している主な支援策を振り返りつつ、その先にある課題や問題点についても考えてみたいと思います。
未来への投資。大田区の主な子育て支援(取り組み)
大田区は「おおた こども未来計画」などの計画に基づき、多角的な子育て支援を展開しています。
① 経済的な負担を軽くする支援
子育てには経済的な負担がつきものです。その負担を少しでも和らげるため、様々な支援が行われています。
- 子ども医療費助成:高校3年生世代まで(18歳到達後の最初の3月31日まで)の子どもの医療費(保険診療の自己負担分)を助成しています。
- 出産・子育て応援事業:妊娠届出時と出生届出後に面談を受けることで、育児用品などと交換できるギフトカード(合計10万円相当)が支給されます。
- 各種手当:国の「児童手当」に加え、大田区独自の「児童育成手当」や、ひとり親家庭を対象とした「児童扶養手当」などがあります。
② 安心して預けられる環境づくり
「働きたくても、子どもを預ける場所がない」という悩みに応えるため、保育サービスの拡充に力を入れています。
- 待機児童対策:認可保育園の整備などを進め、待機児童ゼロを達成した実績があります。保護者の多様なニーズに応えるため、定員の確保に努めています。
- 多様な保育サービス:保護者の病気やリフレッシュなどで一時的に子どもを預けられる「一時預かり」や、病気の子どもを預かる「病児・病後児保育」など、様々な状況に対応できるサービスがあります。
③ 妊娠期から切れ目なくサポート
孤立しがちな子育ての不安に寄り添う、相談体制も整えられています。
- 子育て世代包括支援センター「すくすくおおた」:妊娠期から出産、子育て期まで、保健師などの専門職が切れ目なく相談に応じる「伴走型支援」の拠点です。
- 子育て支援拠点:「キッズな」など、親子が気軽に集い、交流できる場所が区内各所に設けられています。
子育て支援の現場が抱える課題と問題点
このように様々な取り組みが進む一方で、課題がなくなったわけではありません。より良い環境を目指すためには、いくつかの現実的な問題点にも目を向ける必要があります。
① 「待機児童ゼロ」の先にある「保育の質」の問題
待機児童数が改善されても、その裏側で保育士の不足や過重労働といった問題は根深く残っています。保育士の処遇改善を進め、子どもたちが質の高い保育を受けられる環境をどう維持・向上させていくかは、これからも続く大きな課題です。
② 消えない「経済的な不安」
各種助成があっても、物価高騰の中での子育ては家計への負担が大きく、特に塾や習い事などの教育費の増大に悩む声は少なくありません。公的な支援だけではカバーしきれない経済的な不安が、第二子、第三子をためらわせる一因になっている可能性があります。
③「届かない支援」と「孤立する親」
区の支援制度は多岐にわたりますが、「制度があることを知らなかった」「忙しくて申請手続きができない」という声も聞かれます。必要な人に情報が届いていないという課題です。また、地域のつながりが希薄になる中で、気軽に相談できる相手がおらず、保護者が社会的に孤立してしまうケースも依然として大きな問題です。
④「子どもが主役」のまちづくりは十分か
子どもたちがのびのびと外で遊べる公園や広場は、十分に確保されているでしょうか。ボール遊びが禁止されていたり、遊具が画一的であったり、子どもたちの「やってみたい」という気持ちに応えられる場所が、まちの発展の中で後回しにされていないか、という視点も重要です。
未来のために、私たちにできること
少子化対策は、単に行政サービスを増やすだけで解決する問題ではありません。課題解決には、行政のさらなる努力はもちろん、私たち区民一人ひとりの意識や行動も不可欠です。
例えば、ベビーカーで困っている親子に手を貸すこと、地域のイベントに参加して顔の見える関係を築くこと、子どもの声を「うるさい」と捉えるのではなく、まちの活気として温かく見守ること。そうした小さな積み重ねが、社会全体で子育てを支える空気をつくります。
行政には、ハード面の整備だけでなく、保護者の孤独感に寄り添うようなソフト面の支援や、多様化する家庭のニーズにきめ細かく応える政策の強化が求められます。
そして私たちは、未来を担う子どもたちを、社会全体の宝として育んでいくという意識を持つことが大切です。子育てしやすいまちは、きっと、誰もが暮らしやすいまちのはずです。大田区の未来のために、皆で知恵を出し合っていく必要があります。
大田区議会議員 佐藤なおみ
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