皆さん、こんにちは。
大田区議会議員の佐藤なおみです。
地域の会館などから、夕暮れ時にカレーのいい匂いがしてきたり、子どもたちの楽しそうな声が聞こえてきたり…皆さんのご近所でも、そんな光景はありませんか?
今、全国にそしてこの大田区にも広がる「子ども食堂」。それは単に食事を提供する場所ではありません。子どもたちにとっては、安心して宿題をしたり、大人に話を聞いてもらえたりする「地域の居場所」であり、保護者の方々にとっては、子育ての悩みを共有し、ホッと一息つける「心の拠り所」でもあります。
今日は、この「子ども食堂」の主な取り組みの現状と、その裏側にある課題について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
広がる、大田区の「子ども食堂」の輪
現在、大田区内では数多くの団体や個人の方が、それぞれの想いを持って子ども食堂を運営してくださっています。その活動内容は食事の提供にとどまらず、学習支援や、地域のお年寄りも交えた多世代交流など、実に多彩です。
こうした活動に対し、大田区としても運営費の一部助成や、企業や農家の方々からの食材提供を仲介するフードバンク事業との連携などを通じて、その活動を後押ししています。地域全体で子どもたちの成長を見守るこの温かい輪は、まさに大田区の宝と言えるかもしれません。
運営現場のリアル。見えてきた課題
しかし、その活動の裏側で、運営者の皆さんが多くの困難に直面しているのも事実です。そのほとんどが、善意のボランティアの方々の自己負担と、筆舌に尽くしがたい情熱によって支えられているのが現状なのです。
1. 運営の継続性という大きな壁
最も深刻なのが、資金、人手、場所の確保です。助成金だけでは家賃や光熱費を賄いきれず、運営者が自腹を切るケースも少なくありません。また、日々の食材の確保や調理、見守りには多くの人手が必要ですが、ボランティアの確保は常に大きな課題であり、担い手の高齢化や疲弊も進んでいます。「情熱だけでは、続けられない」という悲痛な声も聞こえてきます。
2. 「かわいそうな子が集まる場所」という誤解
「子ども食堂 = 貧困家庭の子どものための場所」というイメージが、いまだに根強く残っています。この**偏見(スティグマ)**が、本当に支援を必要としている家庭を、かえって遠ざけてしまうことがあります。「あそこの子、子ども食堂に行ってるんだって」という周囲の視線を気にして、子ども自身が行きたがらなくなるケースもあるのです。子ども食堂は、経済状況に関わらず、地域に住む全ての子どもと大人のための交流拠点である、という認識を広げていく必要があります。
3. 「支援」と「ニーズ」のミスマッチ
フードバンクなどからの食材提供は大変ありがたいものですが、「今週は玉ねぎばかり届いてしまった」「アレルギーの子が食べられない食材だった」など、現場のニーズと必ずしも一致しない場合があります。また、本当に孤立しているご家庭ほど、子ども食堂の存在自体を知らなかったり、知っていても足を運ぶまでのエネルギーがなかったり、という情報の壁も存在します。
私たちが、これからできること
これらの課題に対し、わたしは大田区議会議員として、そして地域の一員として、何ができるでしょうか。
私は、運営者の皆さんが安心して活動を継続できるよう、助成金の拡充や手続きの簡素化はもちろんのこと、区がハブとなって運営者同士が繋がり、ノウハウや悩みを共有できるネットワークを構築することが不可欠だと考えています。
そして、この記事を読んでくださっている皆さんにお願いしたいのは、まず「子ども食堂」を正しく知っていただくことです。もしご近所で開催されていたら、どんな場所か一度覗いてみてください。そしてもし可能であれば、活動のお手伝いや、ご家庭で余っているお米や調味料を少しだけ寄付するなど、自分のできる範囲で関わっていただけると、それは運営者にとって何よりの力になります。
一人の百歩より、百人の一歩。子どもたちの笑顔が輝く未来のために、皆さんと一緒に、この温かい輪をさらに大きく、そして確かなものにしていきたい。心からそう願っています。
大田区議会議員 佐藤 なおみ
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