こんにちは、大田区議会議員の佐藤なおみです。
大田区は日本における「特区民泊」の先駆けとして、空の玄関口である羽田空港を擁する強みを活かし、いち早く新しい宿泊の形を模索してきました。しかし、新しい制度が導入される時には必ずと言っていいほど「光と影」が生まれます。
実は私にとっても、民泊は非常に身近な「生活の問題」でした。以前、夫が区内の分譲マンションを所有していた際、管理組合の理事会から一通のアンケートが届いたことがあります。それは「私たちのマンションで民泊を認めるか認めないか」という住民(夫は区分のオーナー)の意思を問う切実な採決でした。
私の夫は、静かな住環境とセキュリティを守るという観点から、その時は「不採択(認めない)」という一票を投じました。政治家である私の家庭でもこうしたリアルな議論が起きていたように今、大田区内の多くのマンションや住宅街で理想と現実の狭間での葛藤が続いています。
今回は、一人の区民としての実感、そして日々皆様からいただく切実な声を元に大田区の民泊問題の最前線について整理してみたいと思います。
1. 民泊特区・大田区が抱える「期待」と「摩擦」
大田区が「特区民泊」をスタートさせた背景には、急増する外国人観光客の受け皿不足を解消し、同時に空き家対策や地域活性化に繋げたいという大きな期待がありました。世界中から人々が集まる羽田空港の膝元として、宿泊施設が増えることは地域経済にとって確かにプラスの側面を持っています。
しかし、本来は「生活の場」であるはずの静かな住宅街や、高いセキュリティが求められる分譲マンションの中に、不特定多数の旅行者が頻繁に出入りするようになればそこには必ず摩擦が生じます。
夫が経験したマンションの採決は、まさにその摩擦を未然に防ごうとする住民の自衛策でもありました。一室でも民泊が始まれば、共有部であるエレベーターやエントランスに見知らぬ人が昼夜問わず出入りすることになります。その不安をどう解消するのか。それは制度の設計以上に、現場での運用やマナーが問われる極めて繊細な問題なのです。
2. 現場に寄せられる「苦情」の正体
区民の皆様とお話しする中で寄せられる民泊に関する苦情は大きく分けて以下の3点に集約されます。
① 騒音とマナーのトラブル
最も多いのが深夜の騒音です。旅行者にとっては非日常の楽しい時間であっても、翌朝早くから仕事や学校がある近隣住民にとっては、スーツケースを引きずる音や、深夜まで続く大きな話し声は深刻なストレスとなります。特に文化や言語が異なる場合、注意したくても直接話すことが難しくそのもどかしさが地域全体への不信感に繋がってしまうケースも少なくありません。
② ゴミ出しルールの不徹底
大田区には独自のゴミ出しルールがありますが短期滞在の旅行者にこれを完璧に理解してもらうのは容易ではありません。回収日ではない日にゴミが出されたり、分別がなされていなかったりすることで集積所が荒れ、公衆衛生上の問題に発展することもあります。
③ 防犯・安全への不安
民泊として利用される施設が十分な消防設備を備えているか、また緊急時の連絡体制が整っているかという点も大きな懸念です。万が一の事態が起きた際、言葉の通じない宿泊者がパニックになれば、近隣住民を巻き込むリスクも否定できません。夫がマンションでの民泊を不採択とした理由の一つも、こうした「万が一の時のリスク管理」に対する不安にありました。
3. 大田区における民泊のルールと現状
現在、大田区で実施されている「特区民泊」には、通常の民泊(住宅宿泊事業法)とは異なる厳しい基準や独自のルールが設けられています。
| 項目 | 特区民泊(大田区)の内容 | 注意点 |
| 最低宿泊日数 | 2泊3日以上 | 短期すぎる滞在による混乱を防ぐため。 |
| 事前周知 | 近隣住民への説明が必要 | 運営開始前に近隣への周知が義務付けられています。 |
| 苦情対応 | 24時間体制での対応 | トラブル時にすぐ動ける体制が求められます。 |
| 立ち入り検査 | 区による指導・監督 | 不適切な運営には区が指導を行います。 |
こうしたルールがある一方で、無許可で営業を行う「ヤミ民泊」が存在していることも事実です。ルールを守らない一部の業者のために、真面目に運営している方や、周辺住民が迷惑を被る状況は断固として解消していかなければなりません。
4. 真の共存を目指して:佐藤なおみの考え
では、私たちは民泊とどう向き合っていくべきなのでしょうか。夫のケースのように、マンション独自の判断で「認めない」という選択をすることは、自分たちの生活環境を守る正当な権利です。一方で空き家を活用し地域に新しい活気をもたらしている良質な民泊運営者がいることも事実です。
私たちが求めるべきは単なる経済優先の拡大ではなく、住民の平穏な暮らしを最優先に据えた「秩序ある共存」です。
1. 管理運営者の責任をより厳格に
苦情が発生した際に、口先だけでなく実効性を持って即座に対応できる体制を区としてさらに厳しくチェックすること。
2. 管理組合の意思決定をサポート
夫のマンションのように管理組合が適切な判断を下せるよう、区による専門家のアドバイス提供を拡充すること。
3. 「ヤミ民泊」の徹底した排除
地域の安全を脅かす無許可営業に対しては、警察とも連携した厳正な取り締まりを強化すること。
5. 結びに:皆様の声が、大田区の未来を創ります
民泊という新しい仕組みが、私たちの街の文化や平穏と調和するまでには、まだ多くの議論と努力が必要です。私の夫が「不採択」の票を投じた時の想い――マンションに住む「他の住人たちの生活を、住人たちの手で守りたい」という願いは、大田区に住むすべての皆様に共通する切実な祈りではないでしょうか。
私は、皆様の静かな暮らしや安全を、決して「観光振興」という言葉だけで置き去りにすることはありません。現場で起きている困りごと、不安なこと、それら一つひとつを丁寧に汲み取り、区政へと繋げていく。それが私の主たる仕事の1つでもあると思っております。
民泊をめぐるトラブルや、ご近所での不安な出来事があれば、どうぞお気軽に佐藤なおみまでお寄せください。現場の風を感じながら、皆様と共に考え、一歩ずつより良い大田区を創っていきたいと願っています。
皆様の住むその街が、今日も明日も穏やかでありますように。
大田区議会議員 佐藤 なおみ
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