大田区お役立ち情報

「子育てしやすいまち」への挑戦は続く。大田区の子育て支援、その歩みと未来への課題

皆様、こんにちは。大田区議会議員の佐藤なおみです。

「大田区は子育てしやすい」というお声を、区民の方や区外の方からもいただく機会が増えました。私自身も、議員として、そして一人の母親として、そう言っていただけることを大変嬉しく、また誇りに思います。

しかし、この「子育てしやすい」という評価は、一朝一夕に築かれたものではありません。そこには、子育て世代の切実な声に応えようと、悩み、挑戦を続けてきた大田区の長い道のりがありました。

今日は、大田区の子育て支援がどのような課題に直面し、それをどう乗り越え、そして今、どこへ向かおうとしているのか。その「歩み」と「未来」について、皆様と共有したいと思います。

【過去】「保育園に入れない…」待機児童問題と、孤立する子育てとの闘い

今でこそ状況は大きく改善されましたが、ほんの10数年前、大田区を含む東京の都市部が直面していた最大の課題は、深刻な「待機児童問題」でした。

特に、保育ニーズが急増した2014年(平成26年)には、大田区の待機児童数は613人にも上り、多くの子育て世代が悲痛な叫びを上げていました。

女性の社会進出が進む一方で、子どもを預ける保育園の数が圧倒的に足りない。保護者の皆様は、子どもを抱えながら必死で「保活(ほかつ)」に奔走し、それでも入れずに涙をのむ…。「子どもを産んだら仕事に復帰できないかもしれない」という不安は、子育て世代に重くのしかかっていました。

同時に、核家族化や地域の繋がりの希薄化は、「孤立した子育て」というもう一つの大きな問題を生み出していました。日中、赤ちゃんと二人きりで誰とも話さずに一日を終えるお母さん。ちょっとした悩みを相談する相手もいない。そんな見えない不安や孤独感は、多くの保護者を苦しめていました。

【転換期】課題解決への挑戦。保育園の増設と「地域の繋がり」の創出

この危機的な状況に対し、大田区は大きく舵を切ります。

1. 保育園の「量的拡充」への全力投球

待機児童問題の根本解決のため、区は認可保育園の増設を最優先課題としました。区立施設の整備はもちろん、民間事業者の力を積極的に活用し、区内各地に次々と新しい保育園を開設。また、0〜2歳児を預かる「小規模保育事業」など、多様なニーズに応える保育サービスを拡充することで、受け入れ可能な児童の数を飛躍的に増やしていきました。

その結果、2014年(平成26年度)に約10,600人だった区内の保育サービス定員は、2023年(令和5年度)には約18,800人へと、10年足らずで約8,200人分も増加したのです。

2. 「孤立」を防ぐ、地域の拠点づくり

保育園という「預け先」の確保と同時に、親子が気軽に集い、交流できる「居場所」づくりも進められました。区内各所に設置されている「子育て支援ひろば」や、身近な相談窓口である「こども家庭センター」は、まさにこの思想から生まれたものです。

「行けば誰かがいる」「ちょっとした愚痴を話せる」「専門家に相談できる」。こうした拠点ができたことで、保護者の皆様は一人で悩みを抱え込むことなく、地域の中で繋がりながら子育てができる環境が整い始めました。

【現在】多様なニーズに応える、きめ細やかな支援へ

こうした長年の取り組みの結果、大田区はついに2021年(令和3年)に、統計史上初めて待機児童ゼロを達成し、子育て支援は新たなステージへと発展しています。

  • 妊娠期からの切れ目ない支援(伴走型相談支援):
    私が以前のブログでもご紹介した「妊婦のための支援給付」は、まさに現在の支援を象 ” … “は、まさに現在の支援を象徴するものです。経済的な給付と、専門職による「かるがも面接」などの相談支援をセットにすることで、妊娠中の一番不安な時期から、出産・子育て期まで、行政が“伴走者”として寄り添う体制ができました。
  • 産後ケア事業の充実:
    出産直後のお母さんの心と体を休めるための「宿泊型」「日帰り型」「訪問型」の産後ケア事業も拡充しています。核家族でも安心して産後の大変な時期を乗り越えられるよう、社会全体で支える仕組みです。
  • 経済的負担の軽減:
    2019年から始まった「幼児教育・保育の無償化」に加え、大田区独自の高校生世代までの医療費助成など、子育てにかかる直接的な経済負担を軽くする取り組みも進んでいます。

【未来】今、そしてこれからの課題。「量」から「質」への深化

待機児童という大きな山を乗り越えた今、私たちは新たな課題に目を向ける必要があります。それは「保育・子育ての“質”の向上」です。

  • 1. 保育士の確保と処遇改善:
    子どもたちの成長を支える保育の質は、保育士さんたちの専門性と働きがいによって保たれます。しかし、依然として保育士の不足や厳しい労働環境は全国的な課題です。子どもたちが質の高い保育を受け続けられるよう、保育士の処遇改善や働きやすい環境づくりは、区としてさらに力を入れるべき最重要課題です。
  • 2. 「隠れ待機児童」と「小1の壁」:
    数字上の待機児童はゼロになっても、「希望の園に入れず、育休を延長した」「本当は常勤で働きたいが、預かり時間が短くパートタイムを選ばざるを得ない」といった“隠れ待機児童”の声は存在します。また、小学校入学後に放課後の預け先(学童保育)が見つからない「小1の壁」も、働く保護者にとっては深刻な問題です。これらの声なき声に、丁寧に応えていく必要があります。
  • 3. 多様なケアニーズへの対応:
    医療的ケアが必要なお子さんや、発達に特性のあるお子さんなど、特別な支援を必要とするご家庭へのサポート体制も、さらに充実させていかなければなりません。

「子育てしやすいまち」に、完成形はありません。時代の変化と共に、保護者の皆様が抱える悩みやニーズも変わっていきます。

過去の大きな課題を乗り越えた今だからこそ、私たちは安心することなく、一人ひとりの声に真摯に耳を傾け、よりきめ細やかで、質の高い支援を追求し続けていく責任があります。

私も議員として、皆様の声を区政に届け、すべての子どもたちが笑顔で育ち、すべての保護者が安心して子育てを楽しめる大田区の未来のために挑戦を続けてまいります。

大田区議会議員 佐藤 なおみ

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